サウンドミートイン東日本へ行ってきました

先週末は、仙台郊外のみちのく杜の湖畔公園で行われたサウンドミートイン東日本せんだいステージに参加してきました。僕が担当したクリニック・コースに参加してくれたのは13台。1台15分でじっくりとユーザーさんと話をできる楽しいイベントでした。

クリニック・コースというから、なにか悩んでいることがあって、その解決策を聞きにきているのかなぁと思いきや、そんなことはありません。みなさん、すごく良い音。個人的な好みでいうと、全体的にサブウーファー帯域が薄いクルマがほとんどだったし、中にはミッドバスとサブウーファーが鳴らす帯域に隙間があって、つながりが良くないクルマもあったりもしましたが、個人の好みはさておいて、おおむね良い音で音楽が楽しめるクルマばかりでした。


だから、クリニックといいつつそんなにクリニックにもなっていないのですが(笑)、参加者は「僕の、私のクルマの音を誰かに認めてほしい」という意識が強いんでしょうね。僕はそれぞれの人が、その人なりの感性で良い音を楽しんで欲しいと思っているので、明らかに調整ミスをしている部分がある時はそこを指摘するし、ここをこうしたらもっと良くなりそうと思ったところはアドバイスするようにしているんですが、基本的には褒めるようにしています。だから、今回は褒めっぱなし(笑)。自分の好きな音を押し付けたってユーザーが嫌いだったらアドバイスにならないし、本人が楽しんで聴くのが一番ですからね。

中でも印象に残ったのが、自作で参加したお二人。一人はムーヴ、もう一人はイストでの参加でした。ムーヴのかたは10年ほどまえに一度お会いしているようで(覚えていなくてごめんなさい)その頃からソニックデザインのデジコアとスピーカーを使用しているとのこと。スピーカーは取り付けに工夫しているようで、既存のエンクロージャーでは出ないだろうな、という音がしていました。

個人的には、これにローエンドが加われば、さらに良いのになぁとは思いますが、新製品が出たらすぐに買い換える人が多い中、気に入ったものを長く使い続ける姿勢が素晴らしいと思います。今後、コンテンツの中心がハイレゾになった時、どうしても買い換えなければいけない時が来るとは思いますが、その時までは大事に気に入ったものを使って欲しいものです。

もう一人のイストは、塩ビ管を使ってツィーターとミッドレンジをピラーに取り付けていて、いかにも自作感満載です。そのわりには音がまとも。ただドアのミッドバスの鳴りが少し弱く、抜けている帯域がありそうな感じだったのでそれを指摘すると、本人もそこは認識済み。何をやっても直らないので、きっと定在波が悪さをしているんでしょう。測定すると400Hzあたりが抜けているそうです。

このように、自作の人の多くは真面目に取り組んでいていろんな実験も行っているので、自分のクルマに関しては誰よりもわかっているんですよね。だから、アドバイスは無くても解決できるところは自分で解決できるのかな、と。ネガティブなところを消すセッティングではなく、良いところをより伸ばしていくセッティングを進めていって欲しいものです。

ETANI ONEを装着したクルマが3台もいたのにも驚きです。やはりETANI ONEは素晴らしい音がしますね。すべて、ソニックデザインのスピーカーを組み合わせていましたが、ETANI側がエンクロージャーでのスピーカーの装着を推奨しているので、理にかなったチョイスだと思います。ただしユニットが小さいので音圧は出ないし、ローエンドも物足りませんが。

それでも位相がピッタリ合った音はとても気持ちが良いもの。なかなか、クルマの中では楽しめるものではないしそれが自動調整でできるのだから、お店にとっても楽ですよね。けっこうな値段だし、ボディがでかいのは気になりますが、それを気にしない人にはおすすめです。

そういえば、中に1台、自動調整の後に、マニュアルで少しいじったという人がいました。そのクルマは、情報量もスピード感も素晴らしかったのですが、なんか音場に違和感を感じました。おそらく、最後にいじったところで位相のズレを生じて、違和感に繋がったのでしょう。それほど、この自動調整機能はよく出来ています。プレーヤー部分はラズベリーパイがベースという噂で、それほど高コストのものではなさそうですが、それでもこの良い音が得られるのは、優れた調整機能のおかげでしょう。

ほかに、はるばる新潟からやってきた人たちも気合が入っていました。みなさん、サウンド・ワクイのお客さんのようですが、クルマもシステムも違う中で、どのクルマも整った音で、お店の技術レベルの高さを感じました。胎内スキー場で行われるカー・エンジョイ・フェスティバルにもよく出ているお店で、このところメキメキと力をつけているようです。信頼できるお店が増えるのは嬉しい限りです。

点数を付けて順位を競うだけのコンテストは興味はありませんが、今回のようにお客さんとの会話を通じて、これからどうしたいのか、どうすればもっとよくなるのかを探っていくクリニックは楽しいものです。このようなイベントがもっと増えるといいなと思うと同時に、ユーザーさんももっともっと音楽を愛して、自分はこんな音が好きと言えるくらいに、聴き込んで欲しいものです。