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カーナビの試乗インプレッション、カーオーディオ機器の試聴。気になる製品を徹底的にテスト!

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2019年もあと1日と少しで終わりですね。

2019年もあと残り1日とちょっと。1年の終わりに2019年のカーオーディオ&AV関連の総括と2020年以降の展望を考えてみたいと思います。と言っても、個々の製品の総括はオートサウンドWebグランプリで行なっているので、もっと広い意味での総括を。

2019年に起こった出来事として、個人的にインパクトが大きかったのは「カローラがディスプレイオーディオを標準採用した」ことでしょうか。以前から、画面を大型化したクルマや1DINや2DINでは収まらない異形デザインを採用したクルマが増えていて、輸入車を中心にヘッドユニットを交換しづらい状況だったのはご存知の通りですが、かつては販売台数NO.1を誇ったカローラがディスプレイオーディオを採用したことで、今後、純正ヘッドユニット事情が様変わりしそうな気配を感じます。

これまで、純正のヘッドユニットは2DINサイズのAVナビ(ナビヘッド)が主流でした。しかしディスプレイオーディオの場合は、ナビをスマートフォンのアプリにゆだねますからヘッドユニットにナビ機能は要りません。またCDドライブも本体にはないケースも多く、本体の奥行きも2DINより薄い可能性も出てきます。カローラの場合はオプションで従来型のカーナビが用意されているので2DIN分の奥行きはあるんでしょうが、最近のクルマはデッキの裏のスペースが少なく配線でギチギチになってしまうケースも多いので、いずれにしても2DINサイズのカーナビには厳しい環境ですよね。

ということからもわかるように、カローラのディスプレイオーディオ化をきっかけに、今後のカーオーディオ事情はガラリと変わっていくでしょう。もっとも、輸入車は以前から変わってきていて、ようやく国産車も? というパターンですが、いよいよ国産車も2DINというサイズの縛りから解放されて自由になりそうです。

となるとカーオーディオのグレードアップにも影響してきます。これまでのように、まずはデッキを市販品に交換して、というパターンが難しくなりそうなんです。純正システムがスタイリッシュにデザインされたインパネを加工してまで、市販の1DINオーディオや2DINナビを入れようとは、なかなか勇気がいりますよね。実際。今までも輸入車に多く見られたんですが、この流れが国産車にもどんどん広がっていきそうなんです。

でも、グレードアップの方法はいくらでもあります。純正システムを残したままで、そのあとにDSPを加えてアンプやスピーカーを替えればいいんです。もっと簡単に済ませたいなら、アンプ内蔵のDSPというのも出ています。これなら純正システムの形にかかわらず、手軽にシステムアップできますね。

といいつつ、DSPはまだまだ発展途上のような気がしています。というのは、プレーヤーを備えたモデルが少ない点です。ようやくザプコからプレーヤー内蔵モデルが登場したし、エタニのETANI ONEもプレーヤーを内蔵しているのでこれだけで音楽が聴けます。ただし、両モデルとも高い(笑)。もっと手軽な価格で、この手のプレーヤー内蔵DSPが出てこないと、一般に広がっていかないような気がします。

今、DSPを使ったハイエンド・カーオーディオで主流なのは、DAPを使ってハイレゾ音源を楽しむシステムです。これでも良いのですが、プレーヤーを内蔵していると音楽再生がもっと楽。配線も少なく見た目も綺麗です。またカロッツェリア・サイバーナビが実現したように、今後はクルマの中もストリーミング化が進んでいくことでしょう。僕は電磁波の影響が明らかになる前に拙速に5Gを進めるべきではないと考えていますが、僕の思いとは関係なく5Gは進んでいくでしょう。そうなれば車内でのストリーミングはますます加速していきそうです。

となると、クルマにメディアを持ち込むのは古いという時代が、遅かれ早かれやってくるでしょう。カセットがCDに変わり、iPod等のDAPに移ったのちにUSB等のメディアに受け継がれ、メディアを必要としないストリーミングへ。この流れは止めようがないと思います。そうなった時にどうするかはこれから考えるとして、このへんは頭に入れておきたいところです。

という意味では、現状のDSPおよびアンプ内蔵DSPはまだまだ発展途上(というか音源が確立していない状況では決め手がない)な状況ではありますが、今後、カーオーディオのグレードアップを考えるなら、DSPやアンプ内蔵DSPが中心になっていくのは間違い無いでしょう。サイバーナビの開発担当者も「次のサイバーナビがどんな形になっているかはわからない」と言っていました。ブラックボックス・タイプのナビ本体にタブレット形式のディスプレイが付き、音源はストリーミングでという形になっている可能性だってあります。さらにナビの地図自体も本体に内蔵するのではなくオンラインでという時代になる可能性だって、無くはないのです。

また先日、あるショップでは車載用のLAN DACの試作品を見せてもらいました。これがそのまま製品化されるかは不明ですが、ポテンシャルが高いものだけに楽しみです。といいう具合に、プレーヤーやその周辺のアイテムでもさまざまな開発が進められていて、今後の進化がどうなっていくのかは正直言って予想できませんが、2020年がターニングポイントになるのは間違いなさそうです。

年々、縮小を続けているカーオーディオ市場ではありますが、音楽好きは減らないでしょう。そして音楽ライフをもっと快適に楽しむなら、良い音=グレードアップは必然です。それはクルマの中も同じで、少しでもシステムをグレードアップするだけで、車内はより快適に音楽が楽しめるようになります。そんな人たちが少しでも増えて欲しいと思い、来年も情報を提供していこうと思います。今年1年、ありがとうございました。2020年もよろしくお願いします。みなさん、よい年をお迎えください!

東京オートサロン2020は1月10日から12日です

年内の新製品もひと段落したようなので、来年の話題を。年明け早々のクルマ関連のイベントといえば、東京オートサロン2020ですね。来年は2010年1月10日から12日まで、幕張メッセで開催されます。

東京オートサロン2020の出展社リストを見ると、ケンウッドやパイオニアはありません。その辺はちょっと寂しいところですが、アルパインやクラリオンはあります。尾林ファクトリーの名前もありますね。あとデータシステムとかセルスターとか、ドライブレコーダーやレーダー探知機などのメーカーも出ています。ほかにはオウルテックですかね。スマートフォン関連の小物などを扱うメーカーです。カーオーディオ&AV関連の出展は、これくらいかと思います。あっ、あとオートバックスがあります。

この中でクラリオンから届いた情報を見てみると、クアッドビュー・ナビのNXV997Dがメインのようです。デモカーはスズキ・スペーシアと光岡ビュートの2台。こちらはディーラーオプションでクアッドビュー・ナビが採用されているので、それが付いたクルマのようですね。またビュートには独自の音響システム、フル・デジタル・サウンドも搭載しているみたいなので、そちらもぜひ体験してみてください。

さらにSmart Accessによる独自のiotリンクデモも行います。東京モーターショーではお掃除ロボットのルンバを操作できるようになったことを発表していましたが、さらに新しく操作できる何かを追加するんでしょうか。

他に、車載用技術を応用したe-sports用のゲーミングチェアも参考出品します。このチェアを使用したドライビングシミューレーションゲームをブースに設置し、音響システムが楽しめるようなので、ぜひ楽しんでみてください。

アルパインはアルパイン・スタイルとしての出展です。デモカーはアルファードのSCパッケージとSAパッケージの2台とヴォクシー、マツダCX-8、BMW X3、そしてコンセプトデモカーのアルファードの6台です。オートサロンを前に、スタイルワゴンのドレスアップナビ動画が紹介されているので、こちらを見てから会場で実車を確認すると良いかもしれません。しかし、オーディオにはまったく触れていませんね(笑)。

カーオーディオ系のブースが減って寂しい感じは否めませんが、クルマ好きにとっては楽しいイベント。自動車メーカーのブースにもカーオーディオやナビ系の新しい提案があるハズなので、2020年の1発目にぜひ出かけてみましょう。

MTXオーディオからJACKHAMMERパワーアンプ

MTXオーディオからもうひとつ。JACKHAMMER(ジャックハマー)シリーズのパワーアンプが4モデル登場しました。

JACKHAMMERといえば、奥行きがものすごく長い、大迫力のサブウーファーを思い出す人もいると思いますが、このアンプ群はスマート(笑)。価格もそれほど高くはありません。4チャンネルアンプのJH3004が定格出力60W×4で70,000円(税別)。ほかはサブウーファー用のモノラルアンプですが、定格200WのJH5001が62,000円(税別)、定格450WのJH10001が83,000円(税別)、最も大きな定格650WのJH15001が108,000円(税別)です。

MTXのアンプといえば低インピーダンス・ドライブに対応しているのが特徴で、4チャンネル機も2Ω駆動に対応していますが、3台のモノラル・アンプはすべて1Ωドライブに対応。1Ω時の出力は定格でJH5001が550W、JH10001が1100W、JH15001は1650Wにも達し、大型サブウーファーでも楽々ドライブできます。

筐体上部には各種コントロール部を配置。電源起動時には上面に備えたスリットが赤く光るアクセントLEDも装備されています。また別売のハイレベルインプット用接続ケーブルを併用すれば、純正システムなどRCA出力を持たないソースユニットにも接続可能。簡単なシステムアップにも対応しています。

発売は、2020年の1月初旬からの予定です。

MTXオーディオからエントリー・スピーカー登場

年末だから、年内の新製品の発表もそろそろおしまいだよなーと思っていたら、ニュースリリースが届きました。MTXオーディオのエントリー・スピーカー、TERMINATOR(ターミネーター)シリーズです。なんか強そうな名前ですね(笑)。

このシリーズは全部で3種類。一つは16.5cmウーファーを採用したセパレート2ウェイ・システムのTERMINATOR6S(21,000円/税別)、そして16,5cmコアキシャル2ウェイのTERMINATOR6(13,000円/税別)、もう1機種が15.2cm×22.8cm楕円のコアキシャル2ウェイ・スピーカー、TERMINATOR69(18,000円/税別)です。国産のエントリー・モデルナビのリーズナブルさですね。これなら気軽に手に入れられそうです。

このスピーカーは、真っ赤な振動板が特徴。素材はポリプロピレンです。いわゆるPPコーンというやつですね。フレームはスチール製。マグネットはフェライトです。当然ですが、セパレート2ウェイ・モデルのツィーターにはネオジウムマグネットを採用。光景は25mmです。

このセパレート2ウェイ・モデルのクロスオーバー・ネットワークはインライン・タイプなので、配線も楽々。ツィーターはフラッシュマウントとサーフェスマウントの2種類のアダプターを付属しています。また、全モデルにスタイリッシュなスピーカーグリルを装備。なんかホイールみたいですね。だからアウターバッフルを使って、振動板が見える取り付けも派手で良さそうですね。16.5cmモデルなら、イースのインナーバッフルおよびシリコンバッフルにも適合します。

サウンドはパワフルで明るいとのこと。手軽にカーオーディオをグレードアップしたい人にはぴったりです。

ダモーレのアンプが来年1月に受注生産開始

オーディオ製品は大きくて重いものに尽きると考えている人は多いと思います。そんな人には、これ、どうでしょう。ダモーレエンジニアリングのA1500シリーズです。

2チャンネルのA1500.2と4チャンネルのA1500.4が用意されていますが、どちらも幅590×奥行293×高さ57mmの巨大サイズ。重さは12.6Kgもあります。最近は燃費のために軽量化を図るクルマも増えていますが、音を良くするためにはそこを惜しんじゃいけませんよね(笑)。

作りもしっかりしています。2チャンネル機はLチャンネルとRチャンネルを完全分離したデュアルモノラル設計。ひとつのシャーシに組み込まれていますが、共有するのはシャーシだけで、信号も電源回路も完全に分離。つまりモノラル・アンプが2台、ひとつのシャーシに組み込まれたイメージです。回路を見ると、中央を境目に完全に左右対称のミラーイメージ。これを見ただけでも、いい音がしそうだなぁという雰囲気が伝わってきます。

それを証明するようにスペックも素晴らしい数値。SN比は109dBだし、ダンピンブファクターは4Ω時/20Hz正弦波で700もあります。これだけ制動力が高ければ、引き締まった付帯音のない低音が期待できます。

使用パーツも、ニチコンのFine GoldキャパシタとかMuseオーディオ用キャパシタとか、オン・セミコンダクター社製のバイポーラトランジスタとか、厳選した音響パーツばかりを使用。キャパシタはA1500.2にはチャンネルあたり14個(A1500.4には8個)も使用しているそうで、その物量投入ぶりが伺えます。

2チャンネル機は1Ωドライブ(A1500.4は2Ωドライブ)にも対応。パワーターミナルを見ると、1/0AWGの太いケーブルも接続可能で、スピーカーターミナルは8〜18AWGに対応しています。これを見るだけでも凄さが伝わってきますね。シャーシの側面には静音電動ファンを2基装備しているため、熱対策も万全です。定格出力はA1500.2が4Ω時350W×2、2Ω時675W×2、1Ω時1000W×2で、ブリッジ時は4Ωで1350W、2Ωで2000W。A1500.4は4Ω時325W×4で2Ω時は500W×4、ブリッジ時は1000W×2です。

またトップパネルにはLEDディスプレイ・メーターをチャンネル毎に装備。青色LEDで出力レベルをモニターできるほか、クリップ時にはアンバー色に変わり、過電圧や定電圧、過電流、過温度などでプロテクションがかかった時には赤色LEDで知らせてくれます。このあたりは見せる取り付けに向きそうですね。まあ、でかいので隠す取り付けは難しいでしょうが(笑)。

価格は2チャンネル機のA1500.2が90万円(税別)、4チャンネル機は93万円(税別)。値段も立派です(笑)。燃費のために軽量化なんて関係ない、オーディオはでかくて重いほうがいいと思っている人にはいいかもしれませんね。実際、でかくて重いものには、音が良いモデルが多いのも事実ですから。

ストラーダ専用ドラレコのF値が1.2から1.4に

今日は残念なお知らせ。今年の9月に発表されたStrada専用ドライブレコーダーは、F値が1.2でレンズが明るいと話題になっていましたが、そのF値が1.4に訂正されました。

F値だけを気にしている人は少ないと思いますが、F値1.2といえば最高スペックといってもいいくらいに良い数値だっただけに、残念です。まあ、1.4でも十分に優れているんですが。

理由は明らかにされていませんが、開発時に1.2を目標に作ってきたけど、どうしてもその性能に達しなかったということでしょうか。そういえば昨日(だったかな?)パイオニアのスズキ車向けドラレコが、制御プログラムの関係で特定の動作時に録画機能が停止してしまうおそれがあり、自主改善を行うというニュースを見ました。こちらは制御プログラムを書き換えて改善を行うそうなんですが、どうやらドラレコの需要が急激に高まり、短い検証期間で製品化してしまったために、見逃しが出てしまったということが背景にありそうです。

ともあれ、被害を受けるのはユーザーだけに、徹底的な検証と正確なスペックの表示をお願いしたいものです。パナソニックのスペックが変更されたドラレコは、前後2カメラタイプのCA-DR03TDと、1カメラタイプのCA-DR03Dの2モデル。11月上旬から発売されているので、すでに入手している人もいるかもしれませんね。

ビートソニックから24Vを12Vに変えるデコデコ

トラックに乗っている人、いますかね? また一部の寒冷地仕様車にも、24V仕様があります。そんなクルマに乗っている人のための情報です。ビートソニックが、24V車で12Vのカーナビやオーディオ類などの機器を使えるようにするDC/DCコンバータ(デコデコ)のCVT20(6,800円/税別)を発売します。

24V車にカーナビを付けるとしたら、12/24Vに対応したポータブル・タイプのナビを選んでしまいそうですが、手持ちの機器(12V仕様)を付けたいとか、音を良くしたいのでAVナビを付けたいとか、いろいろありますよね。そんな場合はDC/DCコンバータ。CVT20は常時電源が10Aまで使用できて、3Aのアクセサリー電源も取り出せるので、簡単にAVナビの取り付けが可能です。もちろん、ETCやドラレコの接続も可能。トラック・ドライバーには重宝します。

大型ヒートシンクを内蔵したファンレス設計だから音は静か。ヒートシンクは大型ですが本体自体は114×115×41mmとコンパクトだから、設置場所もわずかですみます。PWMによる高効率変換を行うので、変換効率は90%以上。本体の発熱も少なく、バッテリーへの電力負担も軽減されます。といっても、使いかたによっては、かなり熱くなりますけど(笑)。最大可能電力は合計で120Wです。

外部アンプを使ったりといった大掛かりなカスタマイズにはちょっと足りませんが、内蔵アンプなら十分な電力。とくに長距離のトラック・ドライバーは、いかに運転中に快適に過ごすかが重要だと思うので、これを使ってオーディオをグレードアップしてみるのはいかがでしょうか?

ちょっと気になるスピーカーを紹介

自宅のデスクトップ・スピーカーが古くなってノイズも気になるようになってきたので、新調しようと思い探していたらちょっと気になるモデルがみつかりました。Egretta(エグレッタ)のTS-A200シリーズです。

Egrettaはオオアサ電子のブランド。広島に本社があり音響機器や液晶パネル、光学製品などを製造しています。そんな会社の新製品がTS-A200シリーズ。「TS」というと、なんだかカロッツェリアのスピーカーの製品名みたいで馴染みがありますね(笑)

TS-A200シリーズは3種類用意されています。ひとつはアンプ内蔵のステレオスピーカー、TS-A200as(198,000円/税別)、そしてスピーカーが1本のモノラルタイプ、TS-A200a(124,000円/税別)、もうひとつがアンプ非搭載のパッシブ型、TS-A200s(72,000円/税別)です。けっこういい値段です。

これらの特徴は360度全方位スピーカーであること。僕はパソコンに接続して使おうと思っているので360度である必要は無いと思っているんですが、逆に定位がビシッと決まって音像が出るスピーカーだと、仕事中でも聴き込んでしまう危険性もあるので、360度全方位のようなスピーカーのほうが合っているかもしれません。

形も特徴的で、アルミ製密閉型エンクロージャーに収められたウーファーユニットの上にハイルドライバー型ツィーターの部分があります。これが360度水平方向に解放口が開いていて、中央に置いたツィーターから全方位に音を発する仕組み。使用ユニットは粘土を主原料としたポリマー・クレイ・コンポジットで、フィルムの折り方を含めた製法を独自に開発し、自然な音色の再現を図っているといいます。

またウーファーの振動板は、杉由来の新素材である改質リグニンを成分に加えたカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)。さらにサブウーファーとしてアクチュエーター振動ユニットを加えた3ウェイ・システムで、80Hzから45,000Hzの帯域を再生します。つまりハイレゾ対応ってことですね。入力は3.5mmステレオミニジャックのほかUSB(Type B)にも対応しており、192kHz/24bitの再生も可能。DSD5.6MHzにも対応し、ハイレゾ音源も楽しめます。光デジタル入力やBluetooth5.0にも対応しています。

買うならアンプ内蔵のアクティブ・タイプでステレオ仕様だと思いますが、内蔵のアンプは最大出力18W+18W。1.2MHzキャリア使用の高品位デジタルアンプで、Rチャンネルのスピーカーにアンプを内蔵しているそうです。サイズは幅130×奥行130×高さ260mmで、今のスピーカーよりちょっと大きいくらい。底面にはカメラ用三脚と共用のネジ穴が開いているので、ミニ三脚にも取り付けられそうですね。

このスピーカーは12月24日に発売開始とのことですが、その前の22日・23日に東京オフィスのショウルームで試聴お披露目会をやるそうなので、聴きに行ってこようと考えています。

オーディソン&ブラムの試聴会へ出かけてきました

昨日(12月14日)は神奈川・大和市のアドワンサウンドで、オーディソン&ブラムの新スピーカーの試聴会をやっているというので、天気は良いし暖かかったため散歩がてら行ってきました。

外の駐車場には、ブラムのスピーカーを装着したデモカーが置かれ、お客さんが試聴中。2階の店舗に上がると、やはりお客さんがスピーカーをじっくり聴き比べていました。店内のデモでメインで聴かせていたのはオーディソンの新しいTHESISスピーカー。TH1.5II violino(125,000円/税別)という38mmツィーターと、TH6.5II sax(180,000円/税別)という165mmウーファーを組み合わせた2ウェイシステムが、エンクロージャーに入った状態で手前に置かれていました。

このスピーカーはオートサウンドWebグランプリを獲得したように、その良さは確認していましたが、あらためて聴くとやはり良いですね。音が艶っぽくて、引き込まれるような音がします。聴く音楽を選ぶようなところがあって、ビートが強い曲やノイジーな曲などは正直いって似合いません。たとえばヘビメタなんかですね。これらを聴くと「んっ?」と感じます。でもバラードとか弦楽器のアンサンブルあたりを聴くとグッと刺さります。これで一気に好きになる人も多いでしょう。

ずっと聴いていられるような心地よさも、このスピーカーの良さです。在店中、お客さんがけっこう大きい音で試聴していましたが、うるさくて嫌になることはまったくなく、ずっと聴いていられます。この耳当たりの良さと心地よさは、このスピーカーの最大の美点だし、他のスピーカーでは得られない点でしょう。お客さんも、そのあたりが気に入ったようで、お店にいた2〜3時間の間に2セットも売れていました。それほど引力の強いスピーカーです。

下にもどってデモカーを見てみると、ちょうどお客が聴き終わって空いていたのでさっそく聴くことができました。こちらはフロントにブラムのSignature Multxシリーズが付いていました。ツィーターがピュアマグネシウムのTSM25MG45(60,000円/税別)、ミッドレンジが80mmのMS3Multix(105,000円/税別)、ウーファーが165mmのWS6Multix(150,000円/税別)の3ウェイです。これにオーディソンの25cm薄型サブウーファー、APBX10DSを組み合わせています。

パワーアンプはDSPを内蔵したAP8.9bitを使用。これだけでもいいのですが、ハイレゾ音源をより良い音で楽しむために、bit One HDをDACに使用してハイレゾを楽しめるようにしています。

コンセプトは手に入れられる現実的な価格のシステム。とはいっても十分に高いですが(笑)、コンテストに出てくるような金のかかったクルマに比べればリーズナブルに感じる価格で、これから余分なものを省いていったら十分に手に入る価格で収まりそうです。ソースユニットは手持ちのスマホでもいいだろうし、ちょっとサウンドは落ちるものの純正デッキでもOK。bit One HDだって無くても十分なクオリティで音は出ます。

その音ですが、僕の好みからいえばオーディソンよりも、こちらがしっくりきます。リズムのキレが良いことと、音に重みがあること。そして重いのに速いことが理由です。また、ブラムのほうが高域の伸びを感じます。こちらもオートサウンドWebグランプリを受賞していて、その時の試聴では2ウェイでした。それでも十分に厚みのある中域で声がとてもリアルだったので2ウェイで良いと思ったのですが、やはり3ウェイになると中域の密度感が違います。ただ、個人的にはスピーカーが目立つ取り付けは嫌いなので、2ウェイで良いかなとは思いますが。

またオーディソンのサブウーファーが、かなり良い仕事をしている印象です。30,000円(税別)という、フロントスピーカーに比べればリーズナブルなユニットだし、推奨容量に満たない小さなエンクロージャーに入れているとのことでしたが、これがドアのウーファーの下の帯域を支えて重厚感を増しているようです。このサブウーファーはボックスタイプのものやアンプを内蔵したものもあるとのこと。オーディソンはアンプのメーカーと思っていましたが、THESIS IIスピーカーといい、スピーカーもかなり良さそうですね。

オーディソン&ブラム製品の輸入元であるトライムのサイトを見てみたら、デモカーのシステム総額は512,000円(bit One HDとDAPは除く)とのこと。これなら十分に普通の人でも手に入れられる範囲です。今後、試聴会等で聴く機会がある人もいるでしょうから、興味のある人は是非聴いてみることをお勧めします。

ステップワゴンに市販9型ナビを装着するキット

9型モニターを標準装備するクルマが増えてきて、9型の市販ナビもクラリオンにアルパイン、ケンウッド、カロッツェリアと増えてきました。ただし、9型モニターが付くからといって、実際にクルマにつけるときは、車種専用の取り付けキットが必要。というわけで、今回はホンダ・ステップワゴン/スパーダ用のカーAVインストレーションセットです。

このTBX-H008(22,000円/税別)はステップワゴン/スパーダのオーディオレス車(ナビ装着用スペシャルパッケージ付車含む)に市販9型ナビを取り付けるためのキット。パネルのほか、ブラケットやコネクター、変換コード、アンテナ変換コード、アンテナ電源用変換コード、クッションなどがセットで、これと9型ナビを用意すれば、ステップワゴン/スパーダに取り付けられます。取り付けられるのは平成27年4月以降に発売されたモデル。平成29年8月から現在までのハイブリッドにも装着可能です。

ただしカロッツェリアとアルパインのカーナビを取り付けるには、別売の電源ケーブルが必要なので注意。またディーラーオプションの9インチナビ付き車にも取り付けられますが、別途、純正部品のアンダーカバーが必要です。なので新車を手に入れる時は、市販ナビを入れることを前提に考えて、オーディオレス車を選ぶのが良いかと思います。

カロッツェリアの新しいサイバーナビなら、別売の電源ケーブルは必要ですが、ハードキーの無いフルフラットなデザインなので純正以上にすっきりとスタイリッシュに取り付けられるはず。せっかく9インチが入るスペースがあるところに7型ナビを入れると、周囲のパネル部が広くなって画面が小さく見えるので、もし9インチが入るクルマに乗っていたら、頑張って9型ナビを入れることを考えましょう! このステップワゴン/スパーダ用のインストレーションセットは12月12日に発売開始の予定です。

【レビュー】イクリプス録ナビAVN-D10Wに乗った

イクリプス「録ナビ」AVN-D10Wのデモカーに乗る機会があったので報告します。デモカーはトヨタ・ハリアー。このクルマ、ディーラーオプションで9.2型ナビが用意されていて、それを装着するスペースがあるので、7型ワイドのナビだと周囲に余裕があります。横幅200mmのボディだと、右サイドのハードキーの部分までフルフラットで、見た目はスッキリ。これは良いですね。ハードキーが出っぱったモデルが、急に古臭く感じてしまいます。

このAVN-D10Wというモデル、録ナビというサブネームが付いているように、ドライブレコーダーを内蔵しているのが特徴です。付属のカメラはフロント用のひとつだけですが、オプションのバックアイカメラを追加すれば後方の録画もできます。映像は前方も後方も、ナビの画面で確認できるから便利ですね。後方映像は鏡像なので、バックミラーに映ったのと同じような映像で記録されます。

カメラの画素数は約200万画素。フルHDなど目に付く表記はありませんが、クリアな映像で記録できます。暗くなってからは試していないのでわかりませんが、日中であれば、前方のクルマのナンバープレートの細かい文字もくっきり映ります。フレームレートは1秒間に28フレームなので全国どこでもLED信号機の色が消える問題はなさそうだし、画角は水平117度×垂直70度と、もっと広い画角を持つモデルもあることはありますが、十分な広さです。

このドラレコ内蔵ナビの良いところはカメラがコンパクトなところと配線が楽なところでしょうか。本体がナビの中に入っているから、カメラはコンパクト。一体型のようにディスプレイがないので、視界のじゃまになりません。また接続はナビ本体にケーブルをつなぐだけ。ケンウッドやカロッツェリア、パナソニックなどドラレコ連携のカーナビは多々ありますが、それらはカメラがコンパクトでもドラレコ本体をどこかに置くことが必要ですから、それよりはずっと配線が楽です。トヨタ/ダイハツ車なら接続ケーブルを同梱しているので、さらに楽でしょうね。

だからカーナビを替えるついでにドラレコもと考えている人には、候補に入れる価値はあるんじゃないでしょうか。カーナビ部分は正直いって「ここがすごい」という部分は見当たりませんが、わかりやすさとか使いやすさを重視した設計のようで、スムースに使えます。画面上にオーディオの表示をしたり、曲送り/戻しボタンを配置しているのも、画面を見て瞬時にわかることを意識したものでしょう。ナビ操作とAV操作のキーが上下2段に別れていて、それぞれ個別にフリック操作できるのも、操作回数を極力減らす工夫でしょう。

Wi-Fiを内蔵して「つながる」機能も持っています。できるのは、毎月の地図の自動差分更新や施設情報、イベント情報、自車マークなどのダウンロード。Gracenoteから最新のCDDBの取得もできます。デモカーの自車マークはピンク色だったので、おそらくかぐや姫のアイコンでしょうか。こういうのを見ると、富士通テン時代のカーマーティの犬のアイコンを思い出して、懐かしく感じます。ただ、ヘディングアップにしていると、後ろ姿しか見えないんですよね(笑)。だからと言ってノースアップに変えると、かつて紙の地図を使っていた人以外はわかりづらいと思います。そこがもどかしいところです。

地図の自動更新は、テザリング可能なスマートフォンをお持ちなら、テザリングして簡単にできます。2022年10月までは無料。それ以降は、年1回の地図データ年と更新版を有料で販売する予定です。

音もチェックしてみました。それほど大きな声で高音質をうたっているわけではありませんが、ヌケの良いクリーンなサウンドは好感が持てます。もちろんタイムアライメントは簡易タイプだし、イコライザーはパラメトリックの7バンドだし、ちょっと使いづらい部分もありますが、車内音響特性のピークやディップを抑えるのには十分。中心周波数やQを変えられるので、音響特性を整えるには十分でしょう。本気でカーオーディオをシステムアップしようと思ったら物足りないでしょうが、お得な価格で買えるなら、奥さん用のクルマとかセカンドカーに簡単にナビをつけようと思った時に、ドラレコも付いていることだしアリかもしれません。

オーディオ部同様、ナビ機能もとくに突出してすごいというところはありませんが、使いやすくてわかりやすいモデルなので、そんなナビが良い人には好まれると思います。ただ、最初にも言ったように7型モデルしかないんですよね。つくづく、そこが残念です。

バイアスを変えられるグラウンドゼロの新アンプ

ドイツのグラウンドゼロからGZUA SQ-Plusシリーズというパワーアンプが発売されます。2チャンネルのGZUA2.250SQ-Plus(135,000円/税別)と4チャンネルのGZUA4.150SQ-Plus(135,000円/税別)、そして6チャンネルのGZUA6.200SQ-Plus(245,000円/税別)の3モデルです。

アルミヘアラインを配したガングレー・アルマイトのボディは2chと4chが幅360×奥行209×高さ46mmとわりとコンパクト。6chは幅550mmと大きくなります(奥行と高さは2&4ch機と同じ)が、シャープでスッキリしたデザインは良い雰囲気を醸し出しています。

定格出力は2ch機が4Ω時で180W×2。2Ω時は320W×2で、なんと1Ωでも使えます。この時は500W×2の定格出力です。またブリッジ時は4Ωで640W。2Ωだと1200Wだから、SQ(サウンドクオリティ)仕様とはいえ、SPLにも使えそうですね。ちなみに4ch機は110W×4(4Ω)/190W×4(2Ω)で4Ωブリッジ時は380W×2の定格出力です。6ch機は110W×4+160W×2(4Ω)/160W×4+280W×2(2Ω)で、4Ωブリッジ時は320W×2+280Wの3チャンネルアンプとしても使えます。

すべてクロスオーバーを内蔵しており、4ch機と6ch機はバンドバスにも対応。また2ch機にはベースブーストも搭載しており、45Hzを最大12dBブースト可能です。ベースコントローラーも標準装備しているので、サブウーファーを接続した場合は、調整がラクそうです。

そして、このシリーズの最大の特徴は、バリアブル・バイアスコントロール機能を搭載していること。モスコニなどいくつかのアンプも搭載している機能ですが、バイアス電流の流し具合を調整できるんです。これを調整することで、通常のAB級動作から、A級動作の領域まで調整が可能。何Wの出力までA級で動作するのかは資料には書いてありませんが、A級動作領域で使えるのは魅力ですね。ただし、調整のツマミがアンプの底のパネルにあるので、音を聴きながらセットすることは難しそうですが。

実はこのアンプの中の2ch機と4ch機は、オートサウンドWebグランプリの選考のために試聴しています。しかし、僕的には残念ながらあまりピンときませんでした。というのも、同時に聴いたアンプが、あまりにも凄すぎたから。ブラックスのMX4PROは値段が違いすぎるのでしょうがないなとも思えますが、フェーズ・モガミモデルのクオリティがあまりにも高かったので、グラウンドゼロが霞んでしまった印象です。

モガミモデルのレビューはこちらを参考にしてもらうとして、価格は210,000円(税別)のところクーポンコードの入力で126,000円(税別)で出せるというので、それならモガミモデルのほうが断然良いと思った次第。とはいえ、グラウンドゼロが悪いわけではけっしてありません。オートサウンドWebグランプリでは5点を獲得し、みごと受賞しています。とくに脇森さんと藤原さんからは2点ずつを獲得していますから、実力は高いといっていいでしょう。ただ、僕がモガミモデルを聴いてしまったために(他の選者は聴いていません)評価が上がらなかっただけでしょう。

バーブラウンのオペアンプやWIMA社製のハイエンドキャパシタを使うなど、ハイエンド・オーディオ用の最高品質パーツを厳選して使うなど、細部にこだわった作りはドイツ製らしい真面目さを感じます。10〜15万円クラスで質の良いアンプを探している人には、十分に候補になるんじゃないでしょうか。

セルスターからセパレート式のセーフティレーダー

しばらくレビューが続いたので、今日は新製品の情報を。最近、各社からレーザー式オービスに対応したレーダー探知機が続々と出ていますが、セルスターからも発売されました。AR-1とAR-2です。

特徴は、本体とアンテナが別体なこと。3.2インチMVA液晶を搭載した本体とコンパクトなレーザー受信部をそれぞれお好きな場所に設置できるので、取り付けの自由度が増します。本体は幅105×高さ54×厚み21.5mmとコンパクト。またアンテナを、電波を拾いやすいガラスの近くに設置すれば、より早く受信ができるかもしれませんね。

光学フィルターと独自の判定システムにより、離れた場所から広角にレーザー光を受信可能。最速をうたっているので、きっと速いんでしょう。また受信レベルを強弱の2段階で受信。受信レベルによって、取り締まり機の距離感などを把握できるので便利です。さらに、独自の判定アルゴリズムによる識別機能を搭載しているので、自動ドア等の誤報も軽減しています。

GPS警告とレーザー受信によるダブル警告で、逃さず警告するのもありがたい点。GPSデータは毎月無料で配信されるので、配信されたらすぐに更新するといいでしょう。AR-1とAR-2の違いは無線LANを搭載しているかしていないかで、無線LAN搭載のAR-2なら無線LANを搭載しているので、スマホアプリのMy Cellstar+Syncによって無線LAN経由でデータ更新ができます。AR-1の場合、パソコンやAndroidスマホ経由でmicroSDカードに更新データを保存して利用する方式なので、無線LAN内蔵機が便利かと思います。

準天頂衛星みちびきのサブメーター級測位補強サービスに対応したほか、31基のGPSと24基のグロナス、22基のガリレオで測位をするので、GPS警告は高い精度で警告を行います。また災害・危機管理通報サービスの災害通報も表示。音声でも知らせてくれるので、いざという時に心強く情報収拾ができます。

リアルCG警告は、昼/朝夕/夜と、走行時間や場所に合わせたリアルなCG画像を表示するので、見た目にも楽しいもの。新設の取り締まり機も随時、無料で更新できるので、頼もしいものです。製品は設計から基板実装、組み立てまで国内の自社工場で行い、3年の保証が付いているので安心。価格はオープンですが、まだAmazonにも出ていないので、残念ながら売価は不明です。発売は12月中の予定です。

【レビュー】サイバーナビを聴いた、乗った!

オートサウンドWebグランプリが発表されました。ゴールドアワードに輝いたのは、フルモデルチェンジしたカロッツェリアのサイバーナビ、AVIC-CQ910-DCです。なぜこのモデルが選ばれたのかを、試聴や試乗を含めて考えていきましょう。

まずオートサウンドWebグランプリに選ばれるには「音が良い」という前提があります。これは試聴で確認しています。昨年のサイバーナビもS/Nが良く素晴らしい音でしたが、今年のモデルは、それに輪をかけてクリアさが増しています。聞くと、プリアウトのノイズフロアは-144dB。昨年のサイバーナビより8dBもノイズフロアが下がっています。 ノイズレベルは4分の1以下に下がっているんです。

これだけスペックが違うんですから、音を聴いても明らかに違います。とにかくクリーン。そして静か。スペック的にはカロッツェリアXを超えているんじゃないでしょうか。音のキレ、シャープさ、クリーンさは、カロッツェリアXを彷彿とさせるものがあります。ダイヤトーン・サウンド・ナビの登場以降、AVナビの音質は一気に上がった感がありますが、ついにここまで来たかという感じです。

なお、-8dBという数値は、プリアウトでの話。内蔵アンプでは-4dB止まりです。-4dBでもノイズレベルは半分以下に下がっているわけですから凄いのですが、新サイバーナビの良さを実感するなら、やはりプリアウトを使って外部アンプをつないだ時だと思います。

これは35,000円(税別)のリーズナブルな250W×2パワーアンプ、PRS-D800を接続して聴いた時に確認できました。昨年モデルも、同じように外部アンプ有り/無しで聴き比べしたんですが、その時は「内蔵アンプってわりといいね」という感想でした。ところが今回、外部アンプに変えたとたん、音が激変したんです。「PRS-D800って、こんなにいいアンプだったんだ」という感想です。

これはプリアウトのクオリティが大幅に高まって、接続したアンプの能力を引き出しやすくなったおかげでしょう。このようなリーズナブルなアンプでも、しっかりと能力を発揮するのですから、是非ともお好きなパワーアンプを接続して聴いてほしいものです。今回はプリアウトにバッファーアンプを追加しているそうです。

この音の良さがあった上で、僕が何より素晴らしいと感じたのは「もう車内に音源を持ち込まなくていい」という点です。すでにCDなどのパッケージメディアをクルマに持ち込む機会はめっきり減り、ほとんどUSBメモリーにハイレゾ音源を貯めて持ち込むということが増えている今、メディアを持ち運びすることさえ面倒になってきていますが(笑)、新サイバーナビならほとんどストリーミングでいけてしまうんです。

それがdocomo in Car Connectの最大の良さでしょう。車内がつなぎ放題、データ容量無制限のWi-Fiスポットになりますから、周辺の環境さえ整えておけば車内で様々なコンテンツが楽しめます。ハイレゾ音源を聴きたいなら、自宅にNASを整えて、その中にハイレゾ音源を貯めておけばいいんです。もちろんUSBメモリーの音源を記録して持ち込んでもいいのですが、それさえ面倒に思えるほどの使い勝手の良さです。

また自宅のBDレコーダーと接続してHDDに記録した番組を楽しむこともできます。日本人はTVが好きなので、車内で好きな番組を好きな時間に見られるのはうれしいんじゃないですかね。もちろんYouTubeも楽しむことができるし、新サイバーナビのHDMI端子にFireTVスティックを差し込んでおけば、数々の動画配信サービスを楽しむこともできます。これだけ映像コンテンツが充実していると、車内にいる時間が伸びそうですね(笑)。

Amazon Music HDだって楽しめます。ただし、Amazon Music HDはFire TVスティックを経由して聴くので再生時に制限がかかって、たとえ192kHz/24bitの音源だとしてもそのままのクオリティで楽しむことはできません。そのあたりはちょっと残念ですが、同じ曲をSpotifyと聴き比べてみると断然にクオリティが高く、じっくり聴きこむわけではないなら十分なクオリティで楽しめます。このあたりはマスターサウンドリバイブという、CDや圧縮音源をハイレゾ化してマスター音源に近づける技術が効いているのかもしれません。

いずれにしても、映像にしろ音楽にしろこれだけコンテンツが充実していれば、もうクルマにメディアを持ち込まなくても良し。ついに車内でもストリーミングの時代が現実になったという時点で、画期的な商品だと思います。僕が新サイバーナビを入手したら、すぐにサイバーナビに対応するNASを手に入れてハイレゾ音源を貯めておくでしょう。そうすることで、車内にメディアを持ち込まなくても簡単に車内でハイレゾ再生ができるのですから。ちなみに通信が途切れることがないかを、担当者や各地の営業まで巻き込んで全国を走り回ったそうですが、ほとんど途切れることがなかったそうなのでご安心を。

カーナビ部分にも触れておきます。基本的にカーナビ部分は従来モデルを踏襲。メニューの変更やハードキーを無くした関係で多少、操作感は変わっていますが、機能に大きな違いはありません。試乗したヴェルファイアはMAユニットも加えたフル装備仕様で、借りた時には実写映像でナビゲートするスカウタービューのモードになっていました。

僕はこの画像が嫌いなので(笑)というか、この画像時に道を間違えることが多々あり、一般的な交差点拡大図に切り替えようと思いましたが、その手順がどうも以前よりも深い階層にあるような気がして、切り替えに手間取ることがありました。また実際の画像で道路状況を見せてくれるスポットウォッチャーも、実際の走行中に瞬時に場所を確定するのは不可能だし、かすかに自車位置マークが見えているとはいえ地図を隠してしまう悪影響が大きいため、正直いって無駄な機能と感じてしまいます。

このようなオーバークオリティな機能も多々ありますが、やはりカーナビとしては一級品。サイバーナビを使ったあとに他社のナビを使ってみると「えっ? 機能ってこれだけ??」と、物足りなさを感じてしまいます。それほど、飛び抜けて機能が多いのがサイバーナビです。

細かいところでいうと、スーパールート探索。カーナビでルート走行をしていると「実際にはもう一つ先の出口で降りたほうが早いのになぁ…」と思うことが多々あります。それでも「カーナビだからしょうがない」と思うでしょう。ところがスーパールート探索はサーバーの高性能なコンピューターで計算しますから、より早く着くルートを導き出してくれます。だから多少距離が伸びて遠回りするルートになっても、所要時間が短ければOK。こんな計算ができるのはスーパールート探索だけなんです。

スマートループ渋滞情報のおかげで、走行中の渋滞考慮オートリルートもバンバン行います。これが出た時に他社のナビなら新ルートと旧ルートを見比べてどちらを走るか検討するところですが、サイバーナビなら迷わず新ルートに切り替えます。というのは、これまでサイバーナビを使ってみて実感した経験からくるもの。ルートに関しては、ほんとうに信頼できるし、渋滞情報もきめ細かく正確。このあたりは、スマホナビはともかく、他社のナビでも真似できるものではありません。

また本当に細かいことですが、コンビニのアイコンを見て、駐車場の有り/無しがわかるんです。地方だと、だいたいコンビニには広い駐車場がありますが都内だと駐車場がないコンビニも多々あり、せっかくコンビニがあるのに路駐しなければならないこともあります。駐車場の有り/無しが事前にわかると動きに無駄が出ないので、ドライバーの立場に立った本当にありがたい表示だと思います。

ともあれ昨年末に会社が投資ファンドの傘下に入り、この先どうなるか心配されたパイオニアでしたが、その心配をよそに攻めた素晴らしい製品を作り上げたあたりに拍手を送りたいと思います。

【レビュー】オーディソン AP F8.9bitを聴いた

アンプ内蔵DSPの2機種目はオーディソン のPRIMA AP F8.9bitです。従来のAP8.9bitよりも少し大きくなって、定格出力が35W×8から85W×8へと大幅にパワーアップしています。コントローラーのDRCが付かないモデルが14万円(税別)、DRC付きが15万円(税別)。純正システムをベースに手軽に音質向上が図れます。

アンプは内蔵していないけど、bit OneというDSPを出した先駆者的メーカーだけに、洗練されていますね。まずデザインがいい。天板が軽く丸みを帯びていて、サイドのラインも軽くカーブしています。このあたりのデザインの良さがイタリアを感じます。型番に追加された「F」の文字は「Forza(フォルツァ)」の意味。イタリア語でパワーを意味するそうです。1チャンネルあたり35Wから85Wにパワーアップしたのですから、フォルツァを名乗ってもいいと思います(笑)。2Ω駆動なら130W×8、4Ωブリッジでは260W×4でも使えます。

内蔵アンプが8チャンネル分あるからシステム対応力は豊富。フロント3ウェイ+リアスピーカーでもいいし、フロント2ウェイ+リア2ウェイのマルチシステムも組めます。DSPは9チャンネル分あるから、サブウーファーの追加も可能。また5チャンネルアンプ内蔵のAP5.9bitや4チャンネルアンプ内蔵のAP4.9bitもあって、システムに応じて必要なチャンネル数が選べるのも嬉しい点です。このあたりは、さすがにこの手のモデルに早くから取り組んでいるなぁということを感じます。

パワーは増えましたが音はおとなしいというか、ちょっと細身というか、Hi-Fi的には少し物足りない面もあります。が、より高音質を求めるならbit One HDがあるし、好きなパワーアンプも選べます。このAP F8.9bitはより手軽なサウンド向上を狙う人向けなので、これで良いんだと想います。ハイレベル入力やRCA入力、スピーカー出力、リモート入出力など、付属の端子類も充実。調整をしっかりと行えば、純正システムを活かしたままで手軽にサウンドクオリティの向上を図ることが可能です。

内蔵チップはクロックスピード147MHzのシーラスロジックの32bitチップ。光デジタル入力を装備していて最大192kHz/24bitのファイルを読み込むことができるので、光出力のあるDAPなどを繋げば、ハイレゾ音源を楽しむことができます。ただしネイティブで再生できるのは96kHz/24bitまでのようですが。今のハイレゾ音源は96/24のファイルが主流なので、これで十分でしょう。

システム設定はあらかじめ11のモードが用意されていて、最初にスピーカー構成を選べばのちのちの調整も楽。その設定はフロント2chの簡単なものからフロント2ウェイアクティブ+センタースピーカー+サブーファーといったものまで用意されているので、ほぼどんなシステムでも対応可能でしょう。もちろんフロント3ウェイアクティブも可能です。

純正システムが様変わりしてオーディオの入れ替えが難しいクルマに対してグレードアップを図る時、アンプ内蔵DSPはもっとも手軽な手段。おそらく、きちんと調整さえすればスピーカーを変えるだけよりも効果が高いと思います。このアンプ内蔵DSPを入れて、リーズナブルなもので良いのでスピーカーも入れ替え、きちんと調整を行えば確実に音質向上できるので、これから増えると予想されるディスプレイオーディオ標準装備車のオーディオを手軽に音質アップするには、良いアイテムなんじゃないでしょうか。

【レビュー】マッチM-5DSP MK2を聴いた

高いスピーカーがひと段落したので、次は比較的リーズナブルな製品を。純正システムに追加して手軽に音質アップを図るためのアンプ内蔵DSPです。

カローラがディスプレイオーディオ(DA)を標準で採用するなど、純正オーディオの形は変わりつつあります。いや、すでに異形の純正オーディオは増えているし、9インチなどの大画面モニターを純正で搭載したクルマも増えています。それよりも、純正システムを外すとエラーが起きて、ヘタするとクルマが動かなくなる事態もありますよね。もうオーディオをグレードアップするのに1DINや2DINサイズのヘッドユニットに変える時代は終わったのかもしれません。

そんな時代に、純正システムを活かしたままでオーディオをグレードアップするにはDSPを足して、それ以降をグレードアップするという手段があるわけですが、それをより手軽にするのがアンプ内蔵DSP。今回、試聴した中でちょっと驚いたのが、マッチのM-5DSP MK2(95,000円/税別)というモデルです。

ボディは幅110×奥行85×高さ35mmというコンパクトさ。シート下など、どこにでも置ける小ささです。この小さなボディに定格で35W×4+90W(すべて4Ω/ノーマルモード)の5chパワーアンプと7chをコントロールできるDSPを内蔵しています。おもしろいのはノーマルモードの他にハイパワーモードが用意されていること。こちらに切り替えると定格出力は60W×4+160W(サブウーファーのみ2Ω、他は4Ω)に切り替えられます。

スペックを見ると「どうせデッキの内蔵アンプに毛が生えた程度だろう」と思いがちですが、国産モデルでは一般的な表記の最大出力に直すとノーマルモードで70W×4+180W。ハイパワーモードだと180W×4+320Wに達します。十分に外部アンプのスペックですよね。そういえば数年前、モスコニの超小型アンプ、pico2を試聴して衝撃を受けたことを思い出しました。最近のD級アンプ、ものすごく進化していますよね。

今回はハイパワーモードで試聴しましたが、音はまとも。そりゃ、80万円越えのブラックスのアンプや同時に聴いたフェイズ・モガミモデルにはかないませんが、低域から高域まで素直に全域に厚みのある音でしっかりと再生してくれます。内蔵アンプだと、どうしても低域の押しの弱さが気になるところですが、このモデルにそれはなし。低域の解像力も確保されているし、けっこう力もあります。このコンパクトさでこの値段でこの音が得られるなら、満足度はかなり高いと思います。

内蔵アンプが5chだから3ウェイシステムをそのままコントロールすることはできないし、ハイレゾは48kHz/24bitまでしかネイティブで対応していません。そのため使用するには割り切りが必要です。でもフロント2ウェイ+サブウーファーのシステムなら問題なし。僕は調整がめんどうだしミッドレンジが目立つ取り付けはどうにも嫌いなたちで、3ウェイにするなら質の良い2ウェイを探したいタイプなので、これで十分と思っています。ハイレゾに関しては、できれば96/24まではネイティブに再生してもらいたいし、プレーヤーも内蔵しているのが理想ですが、純正オーディオをベースにして手軽に音質を向上させるというコンセプトを考えると十分でしょう。

純正オーディオの入れ替えが難しいクルマがどんどん増えていますが、そんなクルマでも純正システムをベースに手軽に音質向上を図ることができるアンプ内蔵DSPは、今後のカーオーディオにとって救世主といえるかもしれません。