新サイバーナビ、今後の展開を予測する

フルモデルチェンジしたサイバーナビが5月下旬から発売される。その概要は、オールアバウトでも紹介しているが、こちらでは将来に向けての展望を考えてみようと思う。



新しく採用したARスカウターモードはカーナビの新たな次元を拓く画期的な機能だが、現時点でできることは、それほど多くはない。実写映像の上に案内画像を重ねる、前を走っているクルマとの車間距離を推定して適切な車間距離を保つことを促す、信号の切り替わりを検知しスムースな運転を促す、高速道路上の白線を認識してクルマのふらつきをドライバーに知らせる…などだ。これだけでも技術的には凄いのだが、先々には新たな展開があるはず。それを予想してみたい。



まず、想像できるのが、スマートループとの連携だ。ARスカウターモードでは、前のクルマとの車間距離を割り出しているわけだが、この車間距離の情報をスマートループで随時アップロードすれば、リアルタイムの渋滞予測が可能になるはずだ。というのも、渋滞が発生する前には、必ず車間が詰まってくる。走行スピードが遅くなってくるからだ。そんな車間距離の変化を監視すれば、渋滞が発生しそうな箇所が、事前に予測できると思う。

現在も渋滞予測データを収録しているカーナビはあるが、既存の渋滞予測ナビは過去の渋滞情報を統計化したもので、実際の渋滞状況とは異なることもある。とくに、高速土日1000円や東日本大震災などがあり、最近の道路状況は、過去のデータが参考になりづらい面もある。その点、車間距離を利用すれば、リアルタイムの交通状況によって、リアルタイムの渋滞予測が可能になるはず。もちろん、現状のスマートループもクルマのスピードをリアルタイムで監視し、混雑や渋滞の表示ができるわけだが、車間距離を加えることで、より早く、精度の高いリアルタイムの渋滞予測が可能になるのではないだろうか。

また高速道路の白線の認識と前車の捕捉ができるのであれば、これをスマートループと連携させることで、車線ごとの渋滞表示およびルート案内も可能になるのではないだろうか。たとえば、もっとも左側の車線が空いているのにも関わらず「左折専用車線かも」と気になって、ついつい混んでいる列に並んでしまうのは、よくありがち。このとき、もし車線ごとの渋滞表示&案内ができれば、空いている左車線を進んでいいのかの判断も事前にできるだろうし、分岐&合流が多い幹線で、どの車線がもっともスムースに走れるのかもわかりそうだ。もっとも、地図データにも車線データを組み込むなどのバージョンアップが必要だろうから、すぐにはできないだろうが、車線ごとの渋滞や誘導は実現してほしいものだ。

ロードクリエイターは、地図更新がよりスピーディになる可能性を感じさせる。というのも、スマートループを活用すれば、ロードクリエイターで生成した新しい道をサイバーナビユーザーが共有するのも不可能ではないからだ。さすがに、たとえロードクリエイターで生成された道のデータを、スマートループで吸い上げても、そのデータをそのまま他のユーザーへ提供することはなく、実際に道を確認した後、地図データとして整備して、道路更新データとして提供することになるようだが、それでもロードクリエイターで生成した道をスマートループでサーバーにアップロードしていれば、新規道路の確認が効率良くできるのだ。

さらに、クルーズスカウターユニット&カメラ搭載のサイバーナビ搭載車が増え、カメラの映像を随時アップロードできれば、交差点の死角を解消するような映像作りもできるはずだ。たとえば、左折する交差点に高い壁が立っていて、曲がった先が目視できないとき。こんなケースでも、交差点の4方向にサイバーナビ搭載車があり、アップロードした画像を合成すれば、壁の向こうが透けて見えるような画像も作り出せるはずだ。もっとも画像をアップロードするのはデータが大きいし、随時アップロードしてそれを高速処理したのちダウンロードする行程が必要なので、現実的ではないかもしれない。それでも、そんな可能性をも感じさせるわくわく感を持たせるナビが、新しいサイバーナビなのだ。