ヘリックスから2種類のDSPが登場!

カプラーオンで純正システムに追加可能なDSPアンプ、Plug&Play PP-50 DSPを発表したばかりのドイツ・ヘリックスから、新たにデジタル・シグナル・プロセッサー(DSP)が2機種、登場する。


先に登場したPlug&Play PP-50 DSPは、基本的に純正スピーカーを利用したまま、DSPによるきめ細かな調整機能を追加することで、音質向上を図るというのがコンセプトの製品。カーオーディオ専門店よりは、むしろ中古車ディーラーなどが扱うのにぴったりの商品だが、新たに登場する2モデルは、ハイファイ・カーオーディオを目指す人に向けた製品。Plug&Play PP-50 DSPにはパワーアンプを内蔵していたが、こちらの2機種には無く、パワーアンプを自由に選べる仕様の純粋なDSPだ。

ヘリックス P-DSP

まず1台目のP-DSP(予価:73,500円)は、ヘリックスの中級機種「プレシジョン」シリーズに属するデジタル・シグナル・プロセッサー。音声信号の入力はRCAピン端子6ch分のほか、ハイレベルインプットに対応した4ch分のスピーカー入力も装備。ラインレベルのプリアウトを装備したデッキと、純正システムや普及タイプのAVナビなど、プリアウトを持たないデッキの両方に対応する設計だ。また、サンプリングレート6〜192kHz対応の光デジタル入力を備えているので、iPodデジタルトランスポートなどのデジタル機器も接続可能だ。

PCで細かい調整ができる
出力は8chだから、最大4ウェイ・マルチアンプシステムを構築可能。サウンド調整機能は、クロスオーバー、イコライザー、タイムアライメント、位相調整。クロスオーバーはハイパス/ローパスとも、20Hz〜20kHzの範囲で、1/12オクターブ刻みにクロスオーバー周波数を設定可能。サブウーファーチャンネルだけは、クロスオーバー周波数の設定が、ハイパス/ローパスとも40〜150Hzの範囲に限定されるが、1Hzステップで細かくクロスオーバー周波数を調整できる。スロープの調整は全チャンネル共通。調整範囲は−6〜−30dB/octで、−6dB刻みに4段階の設定が可能。またバターワース、ベッセル、チェビシェフ、リンクウィッツの肩特性を選べるのも特徴だ。

イコライザーは、1/3オクターブ刻みで30バンドの調整が可能。その上で、1/12オクターブ刻みの微調整と、4.3から15.0の範囲でのQ調整もできる。タイムアライメントは7ミリ刻みで、0〜−400センチの範囲に設定可能。位相調整は、サブウーファーチャンネルを除いて0度、または180度に設定可能。この位相反転機能はほとんどのDSPが搭載しているが、サブウーファーチャンネルだけは、0度から180度の間を22.5度ステップで、8段階の切換ができるのが特徴だ。DSPはクロック周波数172MHzの56bit精度のものを1基搭載。アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバーターと、その逆のD/Aコンバーターは、ともにバーブラウン製を使用する。

これらの調整は、HELIXの本国サイトからダウンロードしたパソコン用のアプリケーションを使い、パソコン上できめ細かくできるのだが、ヘリックスのサイトで提供している車種別のセッティングデータを保存したマイクロSDをP-DSPに差し込むだけでも、車種に応じた簡単な調整も可能。またHELIX Bluetooth Interfaceを使って、スマートフォンでの調整もできるそうだ。
ヘリックス C-DSP

もう1台のC-DSP(予価:126,000円)は、将来の拡張性を考慮して、P-DSPよりもハイスペックに設計した。たとえば純正システムのスピーカー出力を入力できるハイレベルインプットは8ch分用意し、入力レベルはP-DSPが9Vまで対応だったのに対し、C-DSPは2〜20Vに対応。ハイパワーアンプを搭載した純正システムにも対応できる。また調整機能だが、クロスオーバー周波数の設定幅が1/24ステップと、よりきめ細かく調整できるようになっているし、カットオフスロープは−6〜42dB/octの範囲で、−6dB/oct刻みに7段階の調整が可能。イコライザーの微調整は1/24オクターブ刻みだし、Qの調整も0.5〜15.0と、調整幅が広がっている。

搭載しているDSPはクロック周波数172MHzでP-DSPと同等だが、P-DSPが1基なのに対して、C-DSPは2基搭載。またC-DSPではA/DコンバーターがAKM(旭化成)製、D/Aコンバーターがシーラス・ロジック製を採用。スペック的には、歪み率が0.002%以下(P-DSP)から0.001%以下(C-DSP)へ、SN比がアナログ入力時107dB以上/デジタル入力時112dB以上(P-DSP)から、アナログ入力/デジタル入力ともに114dB以上(C-DSP)へと高まっている。

それ以外の機能や装備はP-DSPと同じで、マイクロSDを使った簡単調整や、スマートフォンによる調整にも対応。予算やシステムのグレードに応じて、選択すればいいと思う。


【主な仕様】
■P-DSP
●周波数特性:10Hz〜22KHz●歪み率:0.002%以下●S/N比:107dB以上(アナログ入力時)/112dB以上(デジタル入力時)●サイズ:幅176×高さ42×奥行122mm

■C-DSP
●周波数特性:10Hz〜22KHz●歪み率:0.001%以下●S/N比:114dB以上(アナログ入力時)/114dB以上(デジタル入力時)●サイズ:幅176×高さ42×奥行122mm

【関連リンク】
エムズライン
HELIX(Audiotec FISCHER)本国サイト



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