オーディソンのデジタル・オーディオ・プロセッサー、Bit One HDがリニューアル。Bit One HD Virtuosoとして再登場しました。
オートメッセに展示してあって、そこで初めて目にしたわけですが、最初に思ったのは「なんて読むんだろう?」ということ。正直言うとその時は読めなかったのですが「ヴァーチュオーゾ」と読むそうです。イタリア語、難しいですね(笑)。
この「ヴァーチュオーゾ」とは、名演奏家とか巨匠といった意味があるそうです。この名前の裏には、数々の内部デバイスの変更が関連しています。まず、プロセッサーはアナログ・デバイセズのSHARCプロセッサーを採用。音響用電解コンデンサーにはエルナーのSILMICを使っています。
それ以外にも、オペアンプには低歪みでレスポンス・レートに優れたバーブラウンのSound Plusシリーズを採用し、D/Aコンバーターには24bit/192kHzに対応したシーラスロジックのCS4365とCS4385を搭載しています。さらにWIMAメタライズド・ポリプロピレン・フィルム・コンデンサーも採用し、クリーンでダイナミックな高域再生に貢献しています。SHARCプロセッサーやシーラスロジックのDACなどは従来モデルと同じですが、内部パーツをさまざまグレードアップしたことで、音質も大幅に向上。これが「ヴァーチュオーゾ」のネーミングにつながっているわけですね。
ソフトウェアも大幅にアップデートしています。たとえばFIRとIIRフィルターの切り替え。以前のバージョンでも両方使えましたが、切り替える時にそれぞれに対応したファームウェアにインストールし直すことが必要で、実用上は面倒でした。それが、ヴァーチュオーゾのバージョンではFIR/IIRの切り替えがインストールし直さなくてもできるようになり、使い勝手は大幅に上がっています。
FIRフィルターは基本的に位相のズレが発生しないため、クロスオーバー・スロープを急峻なカーブに設定しても位相ズレが起こらないし、イコライザーも正確にきめ細かく調整可能。プリエコーを気にする人もいると思うので、そのへんは好み次第ですが、ユーザーの好みに応じて簡単に切り替えられます。
パス・スルー・モードも便利な機能です。これは、サラウンド・システムなど、複雑な純正システムが実装されているクルマ向け。純正で5.1chや7.1chなどのサラウンド・システムが搭載されていても、その機能を損なうことなくBit One HD Virtuosoを中心としたシステムと統合できるんです。Bit Play HDなどの再生機器も用意すれば純正システムを利用したマスター入力とは別のシステム設定ができるので、純正システムの限界に縛られないハイパフォーマンスのシステムを創り上げることができます。
基本的なスペックを紹介しておくと、サイズは幅233×奥行148×高さ43.6mmで、従来モデルと同じ。入力はRCAとハイレベル入力に対応し、オプティカル(光)のデジタル入力も2系統装備しています。もちろんハイレゾ対応で、96kHz/24bitのハイレゾ音源はネイティブで再生できます。アナログのRCA出力は13ch。このあたりは従来のBit One HDと変わりません。
が、内部パーツの見直しによって、サウンドクオリティは大幅に向上。より音楽的な中高域と、俊敏な低域を生み出すことに成功しているそうです。また使い勝手も良くなっていて、まさにVirtuosoの名にふさわしい仕上がりです。この内容で、従来モデルの1万円アップの190,000円(税別)なら、コストパフォーマンスは高いんじゃないでしょうか。
初代のBit Oneといえば、純正システムをベースにしてDSPによる高度なサウンド・チューニングを可能にした元祖のモデル。その血を受け継いで進化した最新のBit One HD Virtuoso。注目です。