【レビュー】フェーズ・モガミモデルを聴いた!

昨日(11月12日)と今日の2日間、ステレオサウンドの試聴室で試聴だったので、ついでにフェーズ・モガミモデルも試聴してきました。その結果は?

結論を先に言うと「古くても良いものは良い!」です。今回はオートサウンドWebグランプの試聴で、今年の新製品が集められたのですが、パワーアンプは少なくて、13万円台のものが2機種と80万円台の超高額機が1台というラインナップ。その中に混ぜてもらったのですが、クオリティ的に13万円台のモデルは比較にならず。80万円台のものと比べるとさすがに低域の押しの強さあたりにかなわないところはありますが、中高域のクオリティに関しては、けっしてひけをとりません。最新モデルと比べて聴いてもそうなのですから「古くても良いものは良い!」なのです。


実は、試聴前は、多少の不安もありました。従来のフェーズの青いアンプは自分のクルマに積んで使っていたことがあったので、その良さは十分に知っていましたが、試聴したモガミモデルは長く未使用な状態が続いていたので、コンデンサー等、中のパーツから電気が抜けてしまって、十分に電気がたまるまでは音がスカスカなんじゃないかと。しかし、アンプだけでは無くAVナビやDSP、スピーカーの試聴もあるから、電気がたまるまで待っている時間は無いよな…と。これで実力を発揮できる前に聴き終わったらどうしよう、と思っていたんです。

しかし、そんな不安は音が出た瞬間に吹き飛びました。音が出た瞬間から、質の高い密度の高い音が流れます。ほっとすると同時に、思わず拍手をしてしまいました(笑)。組み合わせたスピーカーは、一世代前のダイヤトーンのフラッグシップ機、DS-SA1。ヘッドユニットはダイヤトーン・サウンド.ナビのNR-MZ300PREMI2です。

このスピーカー、今でも素晴らしい音がするのですが、少し鳴らしづらいところがあって、アンプに制動力がないと低音がうまく鳴ってくれません。したがって、アンプの制動力を測るのには、良いスピーカーとも言えるわけです。そしてモガミモデルは、この気難しいアルミハニカムを挟んだアラミド・コーンを、しっかりと制動してくれます。AVナビの内蔵アンプやアンプ内蔵DSP、そして13万円台のアンプでは鳴らしきれなかった低い周波数の音を、はっきりと聴き取れるように再生してくれました。このあたりは青いアンプから進化した部分じゃないですかね。

音の密度感、情報量も上々。細かい音、小さい弱い音まではっきりと聴き取れるので、内蔵アンプのものを試聴した時よりも、音数は一気に上がった感じです。まあ、これは当然として、なんとなく聴こえるのではなく、音像をはっきりと描いているところが見事。それは小さい弱い音でも同じで、サウンドステージのあちこちから小さい音がピンポイントで聴こえてくるのは、感動すら覚えます。

そして質感の良さ。たとえばシンバルが鍋ぶたを叩いたような安っぽい音じゃなく、重さのあるちゃんとしたシンバルの音に聴こえるし、ヴァイオリンの音色も艶を伴って気持ちのいいもの。ただし、アンプで音色を作っているわけではなく、正確そのものといっていいでしょう。一緒に聴いていたオートサウンドのスタッフは、このアンプを聴いた時に初めて「ようやくハープの音だってわかった(笑)」と言っていました。それは上原ひろみとハープ奏者のエドマール・カスタネーダのデュオのライブを聴いていた時。僕は都内でやったライブを見ているのでハープだとわかっているのですが、普通の優雅なハープの弾き方と違うので実際に見ていなかったらなかなか音色でハープと認識するのは難しいのでしょう。それでもハープだとわかったというあたりは、国産アンプの正確さ、真面目さと言えるでしょう。ちなみにハープと認識できたのは、これと80万円台のアンプだけだったとのことです。

この音の良さは、やはり聴いてみないとわかりませんよね。僕も不安だったくらいですから(笑)。でも、この良さは、聴いてみてしっかり確認しました。友人には126,000円(税別)で買えるから、すぐにクーポンコードを入力して注文するように伝えておきました(笑)。

確かに2チャンネルアンプだから、マルチアンプが主流の今のハイエンド・オーディオ市場ではウケないかもしれません。でも、クオリティの高さは本物。幸い、幅280×奥行235×高さ55mmと、わりとコンパクトに作られているので、4チャンネル分必要なら、2台並べるという手もありです。1台3.4Kgと、サイズのわりにけっこう重いですが。その重みが、音の良さを感じさせる点でもあります。

気になるのはトラブルが発生した時に、ちゃんと修理できるのかということですが、その点は設計者の最上さんが元気だから大丈夫とのこと。もっとも、これまでめったにトラブルはなかったそうですが。ただし、端子への結線時にドライバーとボディが接触してショートする可能性もあるので、とくに自作のかたはご注意を。ボディにテープを貼って絶縁してから作業するなどの対策が必要でしょう。なにしろ、今は生産を終了したパーツも使われているので、大事に使いたいものです。

前回もお伝えしましたが、このアンプは、定価が21万円(税別)のところ、読者には126,000円(税別)で出してもいいとのこと。その際は「CAP2019」というクーポンコードが必要で、販売元のクラスAにメールや電話で伝えてください。販売店で、お客に売りたいという人も同じです。クラスAのサイトはこちらお問い合わせのサイトも載せておきます。

2チャンネルアンプだし、マルチアンプ・システムを組んでいる人には少し使いづらい面もありますが、これ買わなきゃ損でしょ、くらいの勢いでおすすめしたい気持ちです。質の良いアンプを探している人は、最新モデルだけに気をとられないで、多少古くても良い物にも目を向けてみてください。