先週はオートサウンドWebグランプリの試聴があり、試聴室でじっくり新製品を聴くことができました。スピーカーは4ブランド5セット。すべて10万円以上の高級機で、1メーカーを除いて最上級のフラッグシップ・モデルでしたね。だから、試聴するのも楽しみ。その中で唯一、フラッグシップではなかったモレルのVIRTUS NANO CARBON 602(128,000円/税別)と603(172,000円/税別)の印象を、まずはお届けしましょう。
まずは見た目の印象。ウーファーがとにかく薄くてびっくりします。スペックを見ると、取り付け奥行きはわずか17mm。ツィーターや3ウェイのミッドレンジよりも奥行きが短いんじゃないの? というくらいに薄いユニットです。
だから軽自動車など、ドアの厚みがあまりなくてあまり奥行きのあるスピーカーの取り付けは不可能というクルマでも安心。今後、自動運転時代が始まると快適性を高めるためにインテリアの形状がガラリと変わって、ドアからスピーカーが無くなるんじゃないか? とも言われていますが、そうなった時にもこの薄さなら対応できそうですよね。まあ、今のクルマにはまだほとんど関係はありませんが、普通に付けられます。
薄いスピーカーというと、どうしても「低音が鳴らないんじゃないか?」と思いがちですが、このスピーカーは普通に低音を再生できます。もちろん、低音の解像力に優れたモデルに比べると正直いってかないませんが、薄くないスピーカーのように普通に鳴ります。「薄いスピーカーにしては」という前置きは要りません。
音色は自然。解像度がめちゃくちゃ高いわけではないし、高域レンジがめちゃめちゃ伸びているわけでもありませんが、聴き心地のよいナチュラルなサウンドが楽しめます。音にエッジを付けてインパクトや鮮度を出すタイプではないので、音楽から受けるインパクトは弱めですが、じわじわ〜っと心に響いてくるタイプ。案外、運転しながら聴く音楽だと、解像度がバリバリ高くて集中して聴き込んでしまうタイプのものより、ある程度ルーズだけど聴き心地が良いこちらのタイプのほうが向いているかもしれません。
確かに、低音側でちょっと力が抜けているところがあって、低音好きの僕には物足りない点もあるのは事実ですが、この自然さと聴き心地の良さは、モレルらしいところ。2ウェイと3ウェイだと、3ウェイのほうが中域の密度がグンと上がるので、ミッドレンジを取り付けられる場所があるなら、絶対に3ウェイのほうが良いでしょう。ということは、2ウェイは少し物足りないということでもありますが(笑)。