TD理論を応用したトレードインスピーカーTDX1700

イクリプスは高級カーオーディオの「サウンドモニター」シリーズのスピーカーを皮切りに、5.1chサラウンド用のセンタースピーカーTDX700C(26,250円)、サテライトスピーカーのTDX700S(34,650円)、サブウーファーのTDX700W(58,800円)と、タイムドメインスピーカーのラインアップを広げてきた。そして今回、トレードインタイプのフロント用タイムドメインスピーカーTDX1700を発表。フロントスピーカー+サブウーファーのシンプルなシステムから5.1chサラウンドシステムまで、手軽にタイムドメインの高音質を楽しめるようになった。

タイムドメイン理論とは、音を周波数領域だけで捉えず、時間軸で捉える理論。詳しい解説はタイムドメイン社のサイトなどを参考にしてもらいたいが、簡単に説明すると、どんなに周波数特性が整って歪みが少ないスピーカーでも、時間領域にずれが生じると原音への忠実性が失われてしまうわけで、周波数成分を忠実に再生するのではなく、時間領域を考えて音の形を正しく再生するというのが、タイムドメインである。

そのためには音が出るポイントが動かないことが重要。スピーカーでいえば、磁気回路が固定されていることだ。ところが、ドアスピーカーの場合は、自らが発生した音のエネルギーで、スピーカーを固定しているドアの鉄板まで振動させてしまうために、音が出るポイントが前後に動いてしまう。それを解消するためにTDX1700は、ウーファーのフレームを2柔構造にしてフローティング。ドア取付時に音を濁らせる原因となる不要振動を抑え、タイムドメイン理論に近づくようにしている。また振動板の足場となるマグネットは従来の約2倍の大型。これがグランドアンカーの役割となり足場を強固に固めることで、振動板をより正確に動かす。

ウーファーの振動板は、新素材テクノーラとPEN(ポリエチレンナフタレート)の複合素材。不要振動を適度に吸収するため正確な音を再生するという。トゥイーターは4㎝と大きな口径のソフトドームタイプだ。強固かつ大型の密閉箱に入った状態のTDX1700を展示会場で軽く聴いてみたが、音の立ち上がりの鋭さが印象的。小口径スピーカーを思わせるほど、レスポンスがいい。しかもそのレスポンスの良さは、全帯域に渡っているから、低音楽器の音像もぼやけたりせず、明確な定位感をともないながら自然な音場を作り出す。

もちろん、車載状態ではないからドアに付けた状態で、こんな音を再現できるのかはわからない。またタイムドメイン理論に基づくと、ウーファーから出る音とトゥイーターから出る音のタイミングをぴたりと合わせなければ、本来の意図している音はでないだろうから、取付や調整がシビアであることは想像できる。とはいえ、素晴らしいポテンシャルを持ったスピーカーであることは間違いない。発売は7月上旬の予定。

【関連リンク】
・ホーム用のイクリプスTDスピーカー
・タイムドメイン社のホームページ