5月10日に発表されたカロッツェリア・サイバーナビの2016年モデル。カロッツェリア・ブランドの誕生から30周年の節目に登場した「史上最強」を謳うモデルだ。
ラインナップは2DINサイズの7型モデルから横幅200mmワイドボディの7型モデル、8型ラージサイズモデル、車種専用の10型モデルまで全18機種。 このうち、6月に発売されるのは2DIN機のAVIC-CZ900と200mmワイドボディのAVIC-CW900、8型ラージサイズ機のAVIC- CL900の3モデルのみ。残りの15モデルの発売は9月になる。となると「いつ買うの?」「いまでしょ!」とはいかないわけで、購入時期に悩む人も出てくるだろう。
2DINサイズのAVIC-CZ900。想定価格は15万円前後 |
200mmワイドボディのAVIC-CW900。同じく15万円前後を想定 |
8型ラージモデルのAVIC-CL900。17万円前後。6月発売はこれら3機種のみ |
- 基板からOSまでプラットフォームを一新
- 操作系を一新しスマートフォンライクな操作を実現し、従来比3倍以上の処理能力により操作レスポンス大幅向上
- 自車位置精度専用システム「レグルス」や6軸3Dハイブリッドセンサーやにより従来も高精度だった自車位置精度をさらに大幅向上
- スマートループを進化させサーバーで最適なルートを探索するスーパールート探索を行う予定(秋以降)
- Wi-Fi内蔵によりスマートフォン経由で地図データの差分更新やスマートループ渋滞情報の取得が可能
- VICSワイドに対応
- オーディオ基板とナビ基板を独立させノイズを徹底排除するとともにカスタムメイドの高性能48bitデュアルコアDSPをはじめとした高音質オーディオをふんだんに採用
- 従来のスカウターユニットを進化させたマルチドライブアシスト(MA)ユニットにより前方車両接近警告、誤発進警告などの運転支援機能に対応
- MAユニットをドライブレコーダーとして活用。クルマに衝撃を検知した時動画を保存するイベント録画時に指定されたアドレスに静止画や位置情報をメールで通知することも可能
- クルマの以上を検知した時に自動的に動画と静止画を録画したり、指定された宛先に静止画や位置情報をメールで通知したり、MAユニットをセキュリティとして活用
地図は色味が変わってフォントも見やすくなった印象 |
MAユニット付きモデルの発売は9月。写真のAVIC-CL900-Mは23万円を想定 |
MAユニット付きは誤発進警告などの運転支援を行う |
車種専用モデルのMA付きは停車中の車内監視も可能 |
MAユニットがあれば前方の車両と接近し過ぎると警告してくれる |
さて、全15モデルのなかで6月に発売されるのはベーシックタイプの7型&8型モデル。したがって、10型大画面の設定がないクルマに乗っていて、運転支 援やドライブレコーダー、セキュリティの機能が不要な人なら、6月の発売時に購入していいと思う。また、MAユニットは9月になれば単独で発売され、ベー シックタイプのモデルにも追加できる。だから、追加装着に多少のコストはかかろうとも、いち早く新しいサイバーナビを入手したいなら、ひとまずベーシック タイプを6月に手に入れて、後々、MAユニットを追加する手もある。
MAユニットは単独でも発売。ベーシックタイプに追加可能。6万円前後の予定 |
そして10型大画面モデルが装着可能なクルマにお乗りの方。間違いなく、9月の発売を待って10型大画面モデルを導入するべきだ。車種専用モデルならではの、7型&8型にはない機能が盛り込まれているからだ。
アルファード専用モデルのAVIC-CE900-AL 想定価格はMA付き40万円前後、MA無し32万円前後 |
こちらはヴォクシー専用モデル、AVIC-CE900-VO 想定価格はMA付き39万円前後、無し31万円前後 |
ステップワゴン専用モデルはAVIC-CE900-ST MA付き39万円前後、無し31万円前後を想定 |
ひとつが音響チューニングの部分。車種専用モデルは、パイオニア・オーディオ開発部門のエキスパートチューニングチームが、それぞれの車室内音響特性に応じて、綿密に音響を調整しており、手軽にクオリティの高い音で音楽が楽しめるのだ。それも、車種専用モデルだけは、サイバーナビのサウンド調整機能の中にあるグラフィックイコライザーではなく、ユーザーは触れない部分にあるパラメトリックイコライザーを使って1Hz単位できめ細かい調整を行っている。
さらにフロンタルイメージコントロールという機能も、車種専用モデルだけに採用されたもの。これは、左右のスピーカー間の位相差をコントロールして、全席重視というモードに切り替えた時に、前席左右、後席左右のいずれの場所でも、目の前で聴こえるべきヴォーカルがきちんとリスナーの前方に定位する音場を展開するもの。従来は、タイムアライメントを使って、運転席の前とか助手席の前など、特定のリスナーだけが最適な音場で音楽を楽しむことはできたが、すべての席で同様の音場感が得られるのは画期的。車種専用モデルはミニバンばかりで、後席にも人を乗せることが多いため、このような機能はありがたい。もちろん、運転席重視のモードも用意。タイムアライメントを運転席に合わせて、ドライバーに最適な音場再生も可能だ。
また車種専用のMAユニット付きモデルには、クルマの前方を映すカメラに加え、車室内を撮影する専用フロアカメラユニットを同梱。ナビ本体パネルにこのカメラを取り付ける場所を用意しているので、後付け感なく装着できるのがいい。なお、このカメラは赤外線LEDを搭載しているので、暗闇でも車室内の撮影が可能。車上荒らし等の記録にもってこいだ。という具合に、これまでのカーナビにはない機能がいろいろ備わっている。車種専用の10型モデルが用意されているのは、アルファード/ヴェルファイア、ノア/ヴォクシー/エスクァイア、ステップワゴンの6車種だ。
まだ、走行可能な試乗車は用意されていなかったので、軽く触って音を聴いてみた印象を。まずデザインだが、まさしくサイバーというイメージのクールなデザイン。とくに10型モデルは、オリジナルのインテリアに近づけるのではなく、あえてオリジナルとは異なるデザインにしてクールなサイバー感を醸し出しているのがいい。
次に操作感。まずメニューボタンを無くし、新たにホームボタンを設けたのが新しい。というところでうすうす感づいた人も多いかと思うが、OSはAndroidがベースだ。そのためAndroidのタブレット同様、ホーム画面はアイコンのサイズやレイアウトを自在にカスタマイズできる。
もちろん、地図のスケール変更はピンチイン/アウトでできるし、メニューやリストはフリック&ドラッグで可能。フレームまでフラットなデザインも相まって、まさにタブレットを触っている感覚だ。レスポンスに関しては、試作機のためまだ本来の速さが出ていないのか、たまにククっと引っかかる感じもあったが、量産品ではタブレット並みのレスポンスで登場するに違いない。
さて音。従来のサイバーナビとはまったくイメージが異なる、聴き心地の良い音に好感が持てる。タイムアライメントはスピーカーからリスナーまでの実測距離を入力しただけ、イコライザーはフラットの状態で聴いてもバランスは良好。音場も自然に広がっていて、運転席は心地よいリスニングルームに変わる。従来はどこか真剣に聴かないといけないような緊張感を強いるような音だったが、新サイバーナビはリラックスして良い音で音楽を楽しめる雰囲気だ。
ナビ機能に関しては、後日、試乗してからインプレッションをお伝えするつもりだが、新しいサイバーナビではスマートフォン経由で地図の差分更新ができるようになっただけではなく、地図更新のタイミングも毎月決まった日時ということではなく、臨機応変に変えるようにしたとのこと。たとえば高速道路や主要道路が新規に開通したら、その日、もしくは翌日の早いタイミングでナビの地図にも描き込まれるということができるようになる。
ヘッドアップディスプレイを止めるなど、従来モデルと比べると落ちている機能もいくつかあるようだが、サイバーナビ史上最強を謳う実力を備えているのは間違いなさそうだ。それにしてもつくづく、1DIN+1DINのボディタイプがなくなったのと、ハイレゾファイルの再生ができない点が惜しい。
・カロッツェリア・サイバーナビ
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