【オートメッセ】トライムのデモカーを聴いた!

インポーターのブースに移ります。まずはトライムのブースから。ここにはBMWの試聴車が置いていました。製作はAVカンサイによるものです。個人的には、今回のオートメッセで試聴したデモカーのなかで、もっとも気に入ったクルマの1台です。

フロントスピーカーはブラムのSignature Maltixシリーズ3ウェイ。ドアミラー裏のパネルにツィーターが、その近くのAピラーにミッドレンジを搭載しています。ウーファーはドアの中。インナーバッフルで取り付けているので、外からは見えません。


ラゲッジルームにあるパワーアンプは、シンフォニ・クワトロリゴ。サブウーファーはオーディソンです。DSPもオーディソン? と思いきや、このクルマにはヘリックスを搭載していました。これとDAPの組み合わせです。インポーターのデモカーとして製作されたわけではなく、個人オーナーのクルマをデモカーとして使っているので、このへんはいたしかたないですね。

フロントスピーカーは、ちょっとユニークな取り付けをしています。写真だと、ツィーターとミッドレンジが同じ方向を向いているように感じるし、セオリーでもツィーターとミッドレンジの音軸を揃えるのが基本と言われていますが、このクルマはツィーターとミッドレンジの角度が少し違っているんです。ツィーターは近い側がリスナーのほぼ正面を向いているんですが、ミッドレンジは内側を向いているんですね。

見た時には一瞬「?」と思いましたが、音を聴いてみるとこれが良いんです。音像は明確に出ているし、広がりも素晴らしい。AVカンサイはこのイベントにほかにも計5台のデモカーを出していたんですが、フロント3ウェイ・システムを搭載したクルマはほぼ同様の取り付けでした。AVカンサイは、この取り付けに何かを得たんでしょうね。どれも、素晴らしい完成度でした。

ところで、このスピーカーは昨年のオートサウンドWebグランプリで試聴していたので、その実力の高さは知っていました。その時に聴いたのは2ウェイで「2ウェイで十分」と思っていたのですが、ミッドレンジが加わると音は格段に向上します。2ウェイでも十分に生々しいヴォーカルが楽しめるのですが、ミッドレンジを加えた時の生々しさといったら、2ウェイ時の2倍も3倍も上。もしミッドレンジを付けるスペースと予算があるなら、ぜひ付けたほうが良いと思います。

このミッドレンジはMS3 Multixで10万5000円(ペア/税別)。再生周波数帯域は120Hzから32kHzと広帯域なので、ミッドレンジというよりはむしろフルレンジですね。広い帯域をカバーするので、なにかと使いやすいと思います。なおツィーターはTSM25MG70HRで7万5000円(ペア/税別)、16.5cmウーファーはWS6Multixで15万円(ペア/税別)。フロントスピーカーはトータルで33万円(税別)のモデルです。

このクルマ、なにが良いかって、カーオーディオを感じさせないところです。まるで良質なホームオーディオを聴いているような感覚。どっしりと厚い低域が音楽の底を支えていて、その上にリアリティ抜群の中域〜高域が乗っかってきます。ひとつひとつの楽器の音や声も厚く、実在感たっぷり。クルマの中にいるという狭さを感じないのも美点の一つで、広い空間を思わせるし、スピーカーが近くにあることの圧迫感も感じさせません。ある意味、カーオーディオの理想的な音と言ってもいいでしょう。

トライムのブースには、このイベントで初お披露目となった新製品もありました。ひとつは光城精工の新しい電源フィルター&仮想アース。もうひとつはバージョンアップしたオーディソンのDSP、bit One HDです。

光城精工が開発した電源フィルター&仮想アースのNve-03は従来の大容量電解コンデンサーやチョークコイルで構成したものと違い、フィルムコンデンサーを要領別に配列しているのが特徴。これにより、デジタル化が進んだ車載機器の高周波ノイズを抑えることができます。

加えて、大人気のバーチャルアースの機能も搭載。従来のVE-01よりもどっしりと重く、機能も強化してボディアース(GND)ノイズも大きく低減してくれます。設置は簡単だし効果が大きいので、とくに外部アンプを使っているカーオーディオ・ファンには人気のアイテムになること間違いなしでしょう。価格はまだ未定ですが、4万円前後を予定しているとのこと。できれば3万8000円くらいで売りたいとの希望を持っているようですが、どうなることでしょう。発売は5月中旬を予定しています。