【オートメッセ】ダイヤトーンのデモカーを聴いた!

ダイヤトーン(三菱電機)は毎年、大きなブースを出しています。今年は新製品を出していないこともあり、例年よりは規模を縮小していますが、2台のデモカーを展示し、試聴を行っていました。

用意されたデモカーはヘッドユニットにNR-MZ300PREMIを搭載し、フロントスピーカーはDS-G300を採用し、ラゲッジルームにSW-G50を積んだトヨタC-HR。パワーアンプはフロントスピーカーをMZ300PREMIの内蔵アンプで鳴らし、サブウーファーにはカロッツェリアのPRS-D700を使用しています。


もう1台はフロントスピーカーにフラッグシップモデルのDS-SA1000を使用したメルセデス・ベンツAクラス。やはりサブウーファーのSW-G50を搭載し、フロントスピーカーも含め2台のブラックスMatrix MX4で鳴らしています。

この2台のデモカーはC-HR→Aクラスの順番で聴くのが正解。逆に聴くと、C-HRを聴いた時に残念な気持ちになります(笑)。いや、けっしてC-HRの音が悪いわけではないんです。むしろシステム総額がカーナビを含めても50万円以内、スピーカー&アンプだけなら20万円以内でこの音が手に入るなら大満足の音です。ただ先にもっと良い音のクルマを聴いちゃうと霞んじゃうんですよね。そこは注意です。

という意味では、今回はブースを回る順番を間違えたと後悔しています。最初にインポーターやショップのデモカーを試聴し、その後でダイヤトーンのブースへ行ったわけです。この順番だと先にインポーターやショップが丹誠を込めて仕上げたハイエンドなシステムの音を聴いたあとにダイヤトーンのデモカーを聴くことになるわけです。けっして残念な気持ちになったわけではありませんが、印象が薄くなったことは否めません。

それはダイヤトーン・サウンド・ナビの開発者も「まるでホームオーディオのような音がするショップのクルマの音を聴くと、ダイヤトーンの音はカーオーディオの音ですね」と認めていました。ただ「今回は調整不足でしたね。きっちり調整すればダイヤトーンもあれ以上になります」とも。おそらく、会社に戻ったらすぐに調整を行い、次回の試聴会からは素晴らしい音になっていることでしょう。大いに期待したいところです。

それはさておき、デモカーです。C-HRはダイヤトーン・サウンド・ナビの、ヘッドユニットとしての素性の良さを感じさせるものでした。ハイレゾをネイティブで再生できないからちょっと古いという意見もあります。確かに再生時の音源は大事ですが、オーディオのクオリティはトータルで考えてのもの。その点、ダイヤトーン・サウンド・ナビはオーディオ部の良質ぶりを感じさせます。

S/N感はものすごくいいし、情報量も十分。キレが良く芯のある音を楽しむことができます。しかもハイレゾ音源を聴けないわけではありません。確かに44.1kHzにダウンサンプリングされますが、WAVでもFLACでも最大192kHz/24bitのハイレゾ音源を再生できるんです。ここ重要。ハイレゾ音源を再生できないわけではなく、ネイティブじゃないだけで、再生は可能なんです。

しかも量子化ビット数は24bitのまま。音の良さはサンプリングレートよりも量子化ビット数の大きさに左右されやすいとはよく聞きますが、16bitにダウンコンバートせず24bitのままで処理しているあたりは、音を良くしようという努力が見られます。実際、試聴してみてもダウンサンプリングした弊害は感じられません。もちろん、ハイエンドなホームオーディオでじっくり聴き比べたら違いは明らかなんでしょうが、ドライブしながらそんな聴きかたはしないですよね。十分なクオリティです。といいつつ、最近マイナーチェンジでお茶を濁しているダイヤトーン・サウンド・ナビがフルモデルチェンジした時には、どのように変身しているかはわかりませんが(笑)

スピーカーも上級機の音を受け継いでいて、スピード感のあるはっきりとした音。味がないので面白さに欠けるという人もいますが、これがダイヤトーンの持ち味。音楽ソースの音をそのままストレートに再生してくれます。他のインポーターやショップのデモカーを聴いた後ではやや這い上がり気味のバランスに聴こえてしまいますが、原音再生という意味では、ダイヤトーンのスピーカーはやはりいいなと感じます。

Aクラスのほうは、やはりフラッグシップ・スピーカーの凄さを感じます。とにかく、細かい音まですべてを再生する感じ。そのきめ細かさは感動ものです。この音がフロント2ウェイ・システムで楽しめるのですから、ミッドレンジをつける場所がないとか、大掛かりな加工をしてまでミッドレンジを付けるのは趣味に合わないという人には、この上ないスピーカーと言えるでしょう。値は張りますが。

デモカーの音は、こちらもインポーターやショップのデモカーに比べると、ややハイ上がり気味に感じます。おそらく、短時間でのインパクトとツィーターの素晴らしさを強調したためでしょう。そのため、長く聴くとやや疲れる感じの音になっていましたが、デモンストレーションということを考えるといたしかたないでしょう。試聴した人には、その分解能の高さやスピード感など、DS-SA1000の良さを感じ取ってもらえたと思います。

いずれにしても、カーナビにしてもスピーカーにしても、しばらくフルモデルチェンジした新製品が出ていないので、早く出てくることを望みたいところです。おそらく、今必死に開発中のことと思います。