アルパインの新プロセッサー、PXA-H800の実力は!?

1月6〜9日にアメリカ・ラスベガスで行われた世界最大の家電見本市=インターナショナルCES2011でアルパインが発表した新型デジタル・プロセッサー。PXA-H800が、東京オートサロン2011に参考出品されていた。すでにアメリカのサイトでも紹介されているが、果たして、その実力は!?(2011/1/24)



東京オートサロンに参考出品されていたのはデジタル・プロセッサーのPXA-H800と、そのコントローラーであるRUX-C800、そしてインダッシュモニター内蔵の1DIN DVDヘッドユニット・IVA-D800Jの3モデル。これはデモカーのCR-Zに搭載され、音が聴ける状態だった。そのインプレッションは後にして、まずはPXA-H800の概要から紹介しよう。

東京オートサロンに参考出品されたアルパインの新デジタルプロセッサー・PXA-H800

IVA-D800J(上)+RUX-C800
型番からは従来のマルチメディア・マネージャー、PKG-H701S(68,250円)の後継モデルのように思えるが、アルパインによると、音質面ではアルパインのフラッグシップ・シリーズ、F#1 Statusのマルチメディア・マネージャー、PXI-H990(241,500円)に迫るクオリティを目指したとのこと。また機能面でも、ホームシアターなどでも使用されているMultiEQを応用した独自の音場補正技術=インプリントを搭載したり、純正システムとの融合を考えハイレベルインプットに対応するなど、さまざまな機能が追加されている。つまり、PKG-H701SとPXI-H990、インプリントサウンドプロセッサーのPXA-H100、そしてビークルハブプロのVPA-B222を足して割ったようなものともいえる。

PXA-H800に搭載しているデジタル補正機能はタイムディレイ/デジタルイコライザー/デジタルクロスオーバー。出力は8chで最大4ウェイシステムに対応している。またサラウンド・プロセッサーも内蔵しているので、5.1chサラウンド再生にも対応している。デモカーのCR-Zはこの状態。PXA-H800の8chの出力をフロント2ウェイシステムのウーファー(×2)/トゥイーター(×2)/リアスピーカー(×2)/センタースピーカー/サブウーファーに振り分け、2台の4chアンプ・PDX-F4とモノラルアンプのPDX-M6で鳴らしていた。

入力は3系統装備。光デジタル入力も2系統装備しているので、地デジチューナーや携帯音楽プレーヤーなど、追加ソースも入力できる。デジタル補正機能の調整はPXI-H990同様、パソコンで可能だ。内蔵DSPは32ビット浮動小数点演算が可能な高性能タイプ。D/Aコンバーターは、24ビット・アドバンスドDACを4基搭載する。他にも、グラウンド・ポイントを一元化してノイズの低減を図る独自のS.T.A.R.サーキットや、デジタル信号の時間軸の揺らぎを制御するジッター・リムーバ回路、プロスペックの電子ボリュームなど、厳選したパーツと高音質技術を採用している。

その音だが、デモカーでも、PKG-H701Sよりは格段にクオリティが高まっているのを実感できた。PXI-H990に匹敵するといわれると、現時点では「?」だが、これから音質チューニングを煮詰めるとのことなので、PXI-H990に近づく可能性はある。それくらいのポテンシャルを感じさせる音ではある。

PXA-H800にはUSBを装備していないので、iPodをダイレクトに接続できず、IVA-D800J経由のアナログ接続になってしまう(オーディオテクニカAT-DL3iのようなデジタルトランスポートを使うとデジタル入力可能)など、残念な点はなきにしもあらずだが、現時点でデジタルチューニングが可能な高音質システムを組もうとすると、いきなりアルパインF#1 StatusやカロッツェリアXといった超高級システムを導入するか、音質面で多少我慢してもPKG-H701Sを選ぶか、はたまたオーディソンのbit oneかという具合に、選択肢は少ない。けっしてバカ売れする市場ではないだろうが、高音質を求めるニーズは確実に存在するわけで、そんなニーズの選択肢が一つでも増えることはうれしい限り。価格はプロセッサーとコントローラーを合わせて、10万円前後になる予定とのことだから、価格とクオリティのバランスは、ちょうどいいくらいだと思う。