新しい楽ナビ登場。その気になる点をいくつか


YouTubeで中継されたので、ご覧になった方もいると思うが、10月2日、CEATEC会場で新しいカロッツェリア楽ナビが発表された。



従来はHDD搭載の楽ナビと、メモリー使用の楽ナビLiteの2タイプがあった楽ナビだが、新しい楽ナビはメモリータイプに集約。 ボディタイプは2DIN一体型とポータブルタイプの2種類になった。楽ナビにポータブルタイプが加わったことで、エアーナビは収束していくという。

エアジェスチャー採用機は通常、地図の周囲にボタンがなく地図がすっきり見える

そんな新楽ナビのラインアップは全9モデル。新機能のエアージェスチャーに対応した16GBメモリー搭載モデルが全6機種で、このうち、2DIN一体型はBluetooth内蔵のAVIC-MRZ009とBluetooth非搭載のAVIC-MRZ007の2機種ある。残り4機種はポータブルタイプ。AVIC-MRP009が7型ワイド地デジモデル、AVIC-MRP008が6.1型ワイド地デジモデル、AVIC-MRP007が7型ワイドワンセグモデル、AVIC-MRP006が6.1型ワイドワンセグモデルという内訳だ。残りの3モデルは、実質的に従来の楽ナビLiteのマイナーチェンジ版。エアージェスチャー非対応の8GBメモリー採用2DIN機で、7型VGAモニター搭載のワンセグモデルだ。3モデルの違いだが、AVIC-MRZ07ⅡがBluetooth搭載、AVIC-MRZ05ⅡがBluetooth非搭載、AVIC-MRZ03Ⅱがスマートループ非対応である。

手をかざすとメニューが登場
新機能のエアージェスチャーだが、画面に手を近づけたり、画面の前で手を振るだけで、画面に触らずに操作できる機能だ。画面に手を近づけたときランチャーメニューが出てくるのはパナソニックのストラーダでも実現しているが、左右に手を振って操作できるあたりが新しい。そのため、画面の下にはセンサーを3個搭載。真ん中のセンサーで、手が近づいたことを検知し、左右のセンサーで手の振りを検知しているようだ。

手を振ることで可能な操作は、地図スケールの拡大/縮小をはじめ、ナビ画面とAV画面の切り替え、ノースアップ/ヘディングアップの切り替え、ロゴマークの表示/非表示、100mスケールでの一方通行の表示/非表示、交差点拡大表示のON/OFF、音声案内のON/OFF、サイレントガイドのON/OFF、音声のアッテネーターのON/OFF、トラックアップ、トラックアップ/ダウンの11パターン。この中からひとつを設定でき、左右両方向、右方向のみ、左方向のみ、使わないの設定も可能だ。また感度の設定もできる。
エアジェスチャーの設定。感度や手振りに割り当てる操作などが設定できる
CEATECに展示中のデモ機でエアージェスチャーを試してみる。おでかけランチャーの表示はスムーズ。手を近づけると、画面の下に「よく行く」「周辺」「渋滞」「自宅」といったナビ関連メニューと「AVソース」「ファイル」「フォルダ」などのAV系メニューが現れる。また「カスタム」には、好みの操作を登録できる。非操作時に地図の周辺にタッチボタンが無いのは、地図がすっきり広く見やすさが向上していい。

ただし、CEATECに展示していて機器を何台か試してみた限り、左右の手の振りに対する反応にはばらつきがあった。おそらく、量産機ではなく試作機を展示していたのだろうが、スムースに地図のスケールが切り替わるのもあれば、何度手を振ってみてもランチャーメニューが出てくるだけの機器もあり、量産機でどうなるのかはデモカーや店頭で確認して別の機会に報告したい。

それはともかく、心配ごとがひとつ。ナビ本体がステアリングの真横くらいの高さに装着できる機種であれば操作性は向上するだろうが、それより低い位置にナビを装着しなければならないクルマの場合、それほど操作性が良くないのではないかという心配だ。というのも、公開されているYouTubeをよく見るとわかるように、手を振る動作はナビ本体の端から端まで大きく手を振らないと反応しない感じだったからだ。ナビ本体の装着位置が高い場合、ステアリンから離した手を振るだけの自然な動きで操作できそうだが、ナビ本体の装着位置が低い場合は、どうにも不自然な動きになりそうな気がする。


また右ハンドル車で左から右へ手を振る動作をする時は、いったんセンサーの検知範囲外で左手をナビ本体の左側に持っていき、そこから手をナビ本体に近づけて手を振るため、わりとオーバーアクションになる。これでナビの装着位置が低いとオーバーアクションに拍車がかかりそうで心配だ。そのため、エアージェスチャーを使わないとか、右のみ、左のみの設定ができるようにしているのだろう。センサーの感度設定ができる点も含めて、このあたりは良心的である。

いずれにせよ、本当にユーザービリティを考えるならば、操作が限定されるエアージェスチャーだけに絞らず、画面に触れてもいいのでフリック操作やドラッグ操作などを併用しても良かったのではないだろうか。たとえば地図スケールの切替はエアージェスチャーでできたとして、地図とAV画面への切替は画面に指を置きスライドさせる動作でできるとかだ。フリック&ドラッグ操作なら縦の動きもできるので、より多彩な操作が可能なはずだ。思えば、画面に円を描いて地図スケールを切り替えたり、屋根を描いて自宅へのルート探索ができたりするソニーのジェスチャーコマンドは、本当に使いやすかった。エアージェスチャーも含め、さまざまなユーザーインターフェイスを組み合わせた、本当に使いやすいものを望みたいものだ。

ともあれ、ナビ機能、とくに渋滞対応力に関しては他の追随を許さない。なかでもエアージェスチャー対応の2DIN機、AVIC-MRZ009とAVIC-MRZ007は全国約70万キロに及ぶスマートループ渋滞情報に対応(ポータブルタイプは33万キロ)しており、フラッグシップのサイバーナビと同等の渋滞対応力を持つ。マップチャージにより、新しくできた道路は毎月更新できるし、新しくできたお店などの地点データも年に10回更新可能。常に新しい地図へ最大3年間は無料で更新できるのが嬉しい。地図はL-formatを採用しているので16GBながらHDDナビに匹敵するデータを持ち、立体市街地図のスカイビューも、ドライバーズビューも表示可能だ。

AV機能に関してもSDカードにCDの音楽を12倍速で録音できるミュージックサーバーを始め、USBデバイス等多彩なメディアに対応。ただしiPhone5に関してはまだ検証ができていないようだ。おそらく現時点では音楽は再生可能だが、動画再生には対応していないということになるのではないか。それはともかく、新しい楽ナビはすべてオープン価格だが、実売価格はAVIC-MRZ009で125,000円程度になるのでは? とのこと。抜群のコストパフォーマンスである。

こちらは7型ワイドのポータブルタイプ
電源等の配線はすべてクレイドルへ
ポータブルタイプだが、ポータブルタイプとしては初めて4チューナー×4アンテナのフルセグチューナーをクレイドルに内蔵しているし、車速補間型3Dハイブリッドセンサーを搭載するなど、従来のPNDとは一線を画す本格オンダッシュナビである。正面からのデザインはカチッとしていて、エアーナビに比べかっこいいと思う。ただ、個人的にはモニター部とナビ部を別体にして欲しかったというのが本音。というのも、アンテナ等の配線が、すべてクレイドルに集中するからだ。別体にするとコストが余計にかかるといった問題もあるだろうが、クルマを真正面から見たときに配線等が見えてしまうのは、どうにも気になってしまう。輸入車をはじめとした高級車ならなおさらだろう。これでオンダッシュモニター+ナビ本体のタイプはカロッツェリアのカーナビ・ラインアップから消えてしまった。残念というしかない。

なお、CEATECは10月6日まで幕張メッセで開催中。そこで実機に触れるので、いち早く触れてみたいかたは、ぜひ出かけてみてください。

カロッツェリア