より大きくなったパナソニックカーナビの実力は?

通常は車種別のパネルを使って取り付けるため対応車種が限られる大画面ナビを、画面だけ手前に飛び出す形にして多くの車種に取り付けられるようにしたパナソニック・ストラーダのダイナビッグが、大人気とのこと。そのわりに、街中でも駐車場に停まっているクルマでも、見かけることはほとんどありませんが(笑)、売れ行きは好調だそうです。

その波に乗って、2019-2020年モデルが発表されました。発売開始は11月になりますが、オリンピック・イヤーに向けた新製品は、なんと画面がひと回り大きい10V型。東京2020オリンピック・パラリンピック公式カーナビをカタログで堂々と名乗っています。ネーミングも「F1X PREMIUM10」になりました。

   ブルーレイの再生が可能なCN-F1X10BD
このシリーズは、3モデル用意されています。BD(ブルーレイ・ディスク)・ドライブを搭載したCN-F1X10BDとDVDドライブ搭載のCN-F1X10D、そして9V型モニター採用のCN-F1D9Dです。まあ、市販ナビで唯一、BDが見られるところがこのモデルの持ち味でもあるので、僕が選ぶなら、ここはBDが見られるモデルを選んでおくべきでしょう。すべてオープン価格ですが、実売価格はCN-F1X10BDが19万円前後、CN-F1X10Dが17万円前後、CN-F1D9Dが11万円前後とのことです。
   こちらは9型のCN-F1D9D。画面周りの枠が太く感じます

この10型モデルは、モニター部の外形サイズが9型と変わらないのが特徴。これ以上大きくなると、ハザードが押しづらくなったり、ステアリングコラムのレバーに当たったりして取り付け性が損なわれるので、モニターの周囲を狭額縁にしてサイズアップを抑えたそうです。そのおかげで、装着可能車種は400車種以上! 2DINのスペースがあるクルマなら、だいたい装着可能だと思います。しかも車種別パネル等は不要。この手軽さが良いですね。
   機構は従来と変わらず。モニターをマグネシウム合金に変更

フローティング構造のDYNABIGスイングディスプレイの構造自体は前モデルと変わりませんが、モニターの外装フレームにはマグネシウム合金を採用。これでデザイン性も高まったし、強度が向上したことでモニター部が多少重くなっても十分な強度を確保しているとか。実際に触って動かしてみましたが、とても安定していて走行中にぐらついたりすることはない感じです。
   車載状態。モニターの外形は9型と変わらず

そしてモニター自体、HDブリリアントブラックビジョンに進化しています。表示解像度がこれまでの2.4倍のHDパネルで、広視野角&高輝度のIPS液晶を採用。空気層をなくしたエアレス構造や、表面の低反射フィルムによって外交の反射や写り込みを抑え、ストラーダ史上最上級の画質を実現したそうです。確かに鮮明だし、前モデルでは黒くベタッと潰れてしまっていた部分でもはっきりと見えてきます。その部分にノイズが少し多かったのは残念ですが、調整でかなりマシになるので、ノイズが気になる人は調整してみるといいでしょう。

サウンド面では、パワーアンプを新設計したのが大きなところです。新しいパワーアンプは、歪率を従来の約2.5倍に高め、チャンネルセパレーションも約2倍に改善しています。そのおかげで、音はクリアさをアップ。これは試聴コーナーで確認できました。前モデルに比べて、音の透明感が格段に高まり、音の広がりも向上している感じです。

ただし車内で試聴した時は、それは感じませんでした。デモカーはプリウスで、スピーカーは純正のパナソニック製を使用。それでも、透明感のあるキレイな音がしていたのですが、低音が膨らみ気味ではっきりしないし、タイムアライメントを使用していないため、ステージが狭くなってしまいます。聞いたところ、音の匠の設定は家族4人で乗車した時に、全員が心地よい音を楽しむという方針なので、タイムアライメントは使っていないのだとか。
   プリウスで試聴

確かに、乗車した全員が良い音で音楽を楽しむのは理想ですが、クルマではそれが難しい以上、持っている機能を駆使して最良の音を求めるのが、ベストではないでしょうか。ちなみにタイムアライメントも搭載しているのですが、まったく設定していませんでした。またフロント、リアといったざっくりとした調整しかできないので、ツィーターとウーファーを試聴位置から見て等距離に配置するといった、取り付け上の工夫も必要かと思います。

その他の部分は前モデルと同じ。最大192kHz/24bitのハイレゾ音源の再生に対応するほか、CDなどの音源もハイレゾ相当に高音質化して再生することができます。D/Aコンバーターはバーブラウンの32bitタイプを搭載。それ以外にもカスタムコンデンサーなど様々な高音質パーツを投入しています。そして最後に残っていたパワーアンプを、今回新設計したというわけです。

カーナビ部分はまだ走っていないので、レポートは後日にしますが、安全・安心運転サポート機能が充実しているのが自慢です。例えば、高速道路や有料道路から出発するときに逆走への注意喚起をしたり、逆走を検知して音声と画面で警告したりします。またゾーン30を色分け表示するなど、パッと地図を見たときのわかりやすさもアップ。画面が大きく文字もくっきりしているので、特に年配のかたにはありがたいはずです。

NaviConやAndroid Autoを使ったスマートフォン連携にも対応。スマホで目的地を探して転送できるし、Android Autoでは音声認識で目的地検索もできます。ただしAndroid Autoで探した目的地は内蔵のナビでは使えず、Android Autoで使うだけなはずなので、これを使うかどうかはわかりませんが。とりあえず、このようなスマホ連携もできます。
   上のボタンは独立してブラインドタッチしやすく改善

Webダウンロードでの地図更新は、最大3年分つき。全地図更新は3年間で1回のみ提供し、それ以外は年6回の部分更新ができます。ただし部分更新ができるのは10型モデルのみ対応で9型モデルは無しとのこと。地図データ自体が違うんでしょうか。この辺りは謎です。今度、聞いておきます。いずれにしても、オススメの10型BDモデルを選んでおけば、問題ないかと思います。

大画面でブルーレイが見られてハイレゾも再生可能。音も良くなっているので、ハイエンドを求めるユーザーじゃなければ、十分に満足できるのではないでしょうか。