9月8日、新潟・胎内スキー場で行われた「カー・エンジョイ・フェスティバル2019」に行ってきました。昨年は入院していて欠席したので、2年ぶりの参加です。
今年は、石田クラスへの参加は10名。1人10〜15分かけたとしても、2時間ほどで終わってしまいます。ゆったりとユーザーのクルマを試聴できるし、ユーザーともじっくり話ができます。ある意味、理想的な時間配分ですね。
2年ぶりだと、システムが変わっているのももちろんありますが、クルマ自体を乗り換えている人も多数。同じシステムでもクルマが変われば当然ながら音も変わるんですが、その上にクルマまでも新車だとほぼ一から創り上げる感じなので、参加者も大変だと思います。それでも、少しでも音を良くするにはどうすれば良いかのアドバイスを得るために参加するユーザーの熱心さに、頭が下がります。
今回、僕のクラスで1位に輝いたのはアルファード(ヴェルファイア?)の大山さん。かつてのエムズラインのミーティングから、ずっとカーオーディオ・イベントに参加し続けているかたです。このクルマ、イベントがあるごとに、ちょっと惜しいなぁという点があって、色々と文句? ではないな(笑)、アドバイスを続けてきたのですが、今回は音の出かたがとにかくスムース。文句のつけようがない出来でした。あえていうならスムース過ぎて、特徴がないのが弱点ともいえそうですが、点数をつける上では減点がないので、これは強みになります。
2位は長原さんのカムリ(?)です。このかたも常連さん。奇をてらったところがまったくなく、音楽をとことん楽しむためにオーディオをグレードアップしているようなかたです。この音も、とにかく素晴らしい。好きな音楽がある人のクルマは、やはり違います。それに、1位を取ったからといってグレードアップが終わるわけではないということもわかっています。そのあたり、良くわかっているかただなぁと感心しました。今回のクルマに関しては、ほぼほぼ良い音だったのですが、低音がローエンドに近づいた時に、音の出所が後ろに引っ張られる傾向がありました。そこで惜しくも1点減点というわけです。
3位は難波さん。こちらも常連さんです。クルマをBMWのX4に替えての参加です。このクルマの音の良さは、音楽性の高さ。もし、採点項目に音楽性を評価する部分があったら、ダントツ1位かと思います。とにかく素晴らしかった。ただ、残念ながらそこを採点する項目がなかったことが3位という結果に。本当なら、ボーナスポイントでもあげたいのですが、それもできないし…。もどかしいですね(笑)。次回からは、採点項目に音楽性も加えてもらえるように努力しましょう。
4位は、ETANI ONEを搭載したレクサス、5位ばビートルだったと思います。それ以下のクルマも含めて、自分はこんな音が好きというのをしっかりと持っているというのを感じました。たとえば長野のペーパームーンで仕上げたクルマは、あえてタイムアライメントを使っていません。だから、当然、ボーカルが目の前に定位するという状態は得られず運転席寄りになってしまうんですが、音のキレとか厚みはものすごくよく、ハッとさせられるものがあります。本人も目の前の定位よりも音の出かたを大事にしたいというので、それで良いと思います。
要するに、音楽を聴くのは、他人の採点に左右されなくていいということ。いちおう、このようなイベントがある以上、僕も採点は行いますが、けっしてそれが絶対ではなくユーザーがそれぞれ持っている好みに合わせた音で良いと思うんですね。僕も、採点云々よりも、ユーザーと話をして、どうすれば少しでも良くなるのかを考えることを中心にしています。このイベントは、それをわかっているユーザーが多いように見えるのも、参加していて楽しい部分です。
とにかく、僕のクラスに参加してくれたユーザーのクルマは、すべてが良い出来でした。以前は「ちょっとなぁ…」と思ったクルマが多かったのも事実ですが、最近はまったくそんなこともなく、システム金額によって、少しずつクオリティに差が出ているという印象。それだけ、ショップ等の取り付け技術も上がっているし、チューニング技術も一定のレベルに達しているということでしょう。以前は、どのあたりの周波数が抜けているとか、出すぎているとか、タイムアライメントが明らかにずれているといったような、明らかな調整ミスもあったのですが、最近は原因を見つけるのが難しいケースも多く、採点すぐ側もかなり難しくなっていると感じます。
最後に、時間が余ったので他のクラスのクルマも聴いたのですが、1台、素晴らしいクルマを見つけました。デモカークラスにエントリーしていた、サウンド・フリークスのBMWです。
このクルマ、ブラックスDSP(820,000円/税別)を搭載し、パワーアンプは同じくブラックスのMatrix MX4 PRO(820,000円/税別)が2台。スピーカーはイートンのCORE-S3(700,000円/税別)という構成です。サブウーファーは、ごめんなさい、聞きそびれています。
このクルマ、解像度が素晴らしく、その上で高い音楽性もあります。なにより素晴らしいのは、ボーカルの生々しさ。ステージの中央に、立体的にぽっかりとボーカルが浮かび上がります。Aピラーには、イートンのミッドレンジとツィーターがドーンとインストールされているのですが、このミッドレンジがけっこう低い周波数まで再生されているようです。ドアのウーファーからボーカル帯域を再生するのを嫌った結果でしょうが、これが大正解。ボーカルがピンポイントでいるべき場所にいて、音色もリアル。何度も、ドキッとさせられました。
市場がどんどんシュリンクしていると言われているカーオーディオですが、一方で熱い人は健在。あまりにコンテストや順位に熱くなりすぎると、冷めた時の反動がそれまそれで怖いのですが、このイベントはカスタムカーの参加者も多く、子供連れでやってくる客がものすごく多いのが、なによりの救いです。そんなお子さんが免許年齢に達した時に、きっとカスタムカーなり、オーディオカーなりに仕上げてくれることを祈っています(笑)。