東京モーターショーの一般公開が今日からスタート。初日のプレスデイと2日目の特別公開日に行ってきたので、さすがに今日は行っていませんが、カーAV関連の気になる製品を細かく紹介していきましょう。
まずは、初回のサワリでも紹介したデンソーテンのプレミアムダブルツィーター・システム。ダブルツィーターのほか、フロントドア用の車種専用ウーファー、8chアンプがセットのシステムです。
これはフロントシートの左右の席で、同時に最適な定位が得られるのが特徴。片側のチャンネルにダブルで付いているダブルツィーターのうち、ひとつのツィーターだけを運転席に聴かせて、もうひとつのツィーターの音は助手席側の乗員だけに聴こえるようにしているんですね。それで、個別にタイムディレイをかけて調整している。それで、左右両方の席で、どちらも良好な定位が得られるというわけです。
となると、ウーファーのタイムディレイ調整はどうなってるの? という疑問はさておき、主に定位を作り出すのは、より直進性が強い中高域なので、シビアに考えなければ大丈夫という判断なのでしょう。これは、わざわざ4名乗車の試聴ブースを用意していて、試聴することができました。
僕が聴いた時には助手席側に知らない人が座り、後席は空いた状態だったんですが、目の前に現れる自然な定位感で音楽が楽しめました。助手席側では聴いていないのですが、となりの人を眺めてみると、真正面を見て納得しているような表情だったので、たぶん助手席でも自然な定位感で音楽を聴けたのでしょう。
細かく聴いていくと、口元を手のひらで覆った時のような、ちょっと音のヌケが悪い感がありました。これが、近い人に音が聴こえないようにするための長いホーンの影響じゃないといいのですが、聞いたところナレーションの声が少し気に入らなかったのでイコライザーをかけているとのこと。その影響のほうが強いかもしれません。まあ、純正オプションのシステムに、そこまでシビアにクオリティを追求する人もいないと思うのでこれでいいんじゃないかと思います。
走りながら聴くものだから、じっくり聴きこまないとわからないような微々たる違いをあれこれ言うより、左右の両方の席で自然に定位する楽しい音を聴けるほうが、カーオーディオを追求するマニアは別として、喜ぶ人は多いと思います。従来のハイエンド・カーオーディオは、タイムアライメントを駆使してお一人様用に仕上げているのがほとんどですが、たぶん多くの人は助手席にも誰かを乗せてドライブしていると思います。そんな意味でも、左右両側の席で同様の自然な音場が得られるのは重要。本来、カーオーディオの楽しさとは、こういうものであると思うし、以前からメーカーに要望してきたものが、ようやく形になってきた感があります。
そういう意味では、アルプスアルパインが参考出品していたヘッドレストスピーカーも、似たようなコンセプトの元で作られたスピーカーと言えるでしょう。これはヘッドレストの中に埋め込むタイプのスピーカーで運転席、助手席のヘッドレストに埋め込むことで、それぞれが最適な音場を得ることができます。
ヘッドレストに埋め込むものだから純正オプションになるんでしょうが、アルパインでは以前からアルパイン・スタイルというブランドを展開しており、インテリアやエクステリアのカスタマイズ商品やコンプリートカーを展開しているので、スピーカー入りのヘッドレストを出す可能性も無きにしもあらずです。
このスピーカーを鳴らすための、高性能&コンパクトなアンプも用意していて、音を聴くことはできませんでしたが、運転席と助手席の両方で最良の音場再生が楽しめるという意味で、楽しみなスピーカーがひとつ増えました。この展示の反対側では、リフトアップ3ウェイスピーカーのデモを行なっていました。ヘッドユニットは、ハイレゾ再生に対応した純正オプションのナビ。もちろん、スピーカーもハイレゾ対応です。どうやら、今すぐにとはいかないまでも、市販計画も着々と進んでいるようで、遅くとも1年後にはハイレゾ対応の市販モデルも世に出回っていることでしょう。こちらも期待したいところです。
クラリオンのブースのデモカーが、カメラを配置して乗員を認識し、自動的に乗員の人数に応じて最適な音場を自動的に再生すると言うのは以前お伝えした通りですが、付いていたフルデジタルスピーカーが、なんか変わっていました。振動板がホワイト系になっていたんです。材質は、ベースの部分は変わっていませんが、少し違っているとのこと。ツィーターもグリルがホワイトになり、ちょっと大きくなったような気がします。これは確認していないので、なんともいえませんが。
最初にスマホに登録したデータに基づいて顔を認識し、好みのプレイリストを再生するという具合に、とても便利なのですが、音源が圧縮なのでクオリティはそれなり。というか、音量も小さいままだしクオリティはじっくり聴けなかったというのが正しい感想でしょうか。それでも、この便利さには関心。複数の顔や好みの曲を登録しておくと、乗っている何人かの好みの曲をミックスしてプレイリストを作ってくれるそうで、スマホやアプリとリンクすることで、より楽に快適に音楽が楽しめそうです。
熱心なカーオーディオ・ファンが喜びそうなマニアな機器はありませんが、純正オプションで、左右両方の席で同時に自然な音場が得られるのは新しい切り口。本来、ドライブはパートナーや家族、または恋人などと出かけて楽しいものだし、お一人様用にチューニングしたクルマは、それはそれで良いのですが、幅広い音楽好きにカーオーディオの良さを訴えるのには弱いと感じていました。
今後、カーエンターテインメントは大きく変貌を遂げるのが確実な今、それを先取りして自分ひとりだけじゃなく助手席に座るパートナーにも心地よく音楽を楽しんでもらうようなカーオーディオ作りを心がけるのも、ひとつのアイディアと言えるでしょう。