スバルR2のオーディオ・グレードアップ記

ちょっと間が開いてしまいましたが、ようやくマイカーへのオーディオ・システムの装着が終わったので、何回かにわけて紹介していこうと思います。まずはスピーカーから。

僕が選んだのはカロッツェリアのTS-HX900PRS。7.3cmミッドレンジの中央にツィーターを配置したCSTドライバーです。なぜ、これにしたかというと、僕が入手したスバルR2のフロントドアには、スピーカーの装着場所がないんですね。純正スピーカーはダッシュボード上の左右両端にあるだけなんです。


実は今、僕は父親の介護のために秋田の実家にいます。で、雪深い秋田だから4WDは必須だろうということで探した結果、安いスバルR2が見つかってさっそく購入した次第。父親を病院へ送ったり近所へ買い物へ行くための使用が主だから、軽自動車で大丈夫だろうという判断です。

クルマは山形の天童から仕入れて取りに行ったんですが、純正オーディオの音があまりにも酷い…。帰り道に聴くためにCDを何枚か持って行ったんですが、最初に聴いてガッカリしたので、ほとんど無音で戻ってきました。

帰って外してみたらフォスター製のスピーカーだったので、新車の頃はわりと良い音だったんでしょう。でも2006年式だからすでに15年以上。経年劣化は大きく、音はもやっとかすみがかかったようだし、少しボリュームを上げると音が歪んでしまいます。しっかり感が微塵もなく、一言でいうと「へなちょこ」な音でした。

で、さっそくスピーカーを交換しようと思ったんですが、悩んだのはドアを作り替えてガッツリ付けるか、簡単に済ませるかということ。しかし20万円そこそこで仕入れたクルマに50万円かけてスピーカーをとりつけるのもなぁ…と思い、簡単に済ます方向に決めたわけです。

当初は純正スピーカーを外した場所に12cmスピーカーをトレードインすることも考えました。ケンウッドにはスバル車用の12cmカスタムフィット・スピーカーがあるし、アルパインやカロッツェリアの10cmスピーカーもバッフルさえ用意すれば取り付けられるでしょう。また海外ブランドでもブラムなど10cmスピーカーを用意しているところもあります。

それでもカロッツェリアTS-HX900PRSを選んだのには理由があります。ひとつはオートサウンドWebグランプリ2021の試聴にリファレンスとしてTS-Z900PRSを使用して、CSTドライバーの位相特性の良さを改めて実感していたから。もうひとつは以前、エタニONEの実験でCSTドライバーとサブウーファーを組み合わせた音を聴いて、まったく違和感の無いハイファイなサウンドが楽しめたから。そしてケースに収まっているので取り付けが簡単そうだからです。

ただしCSTドライバーだけでは低音が足りないことは目に見えていたので、サブウーファーも加えています。選んだのはカロッツェリアのTS-WX010Aです。CSTドライバーに比べてサブウーファーはかなり物足りない感じもありますが、助手席の足元に置けて場所を取らない、サブウーファーを前方に置けるなどの様々なメリットがあるため、あえてこのモデルを選んだわけです。

取り付けは自分でもできそうと思ったのですが、プロショップにお願いしました。以前から、僕のクルマのオーディオをずっとめんどうみてくれているグランドノートの林さんです。取り付けの面でも音の点でも信頼できるショップなので安心してお任せできます。今回も、こんな感じでと簡単に説明しただけで、思った以上の仕上がりになりました。お店は以前の環七沿いから多摩川の近くに移転しましたが、相変わらず元気にやっています。

その作業を見てあたらためて「林さんにお願いして良かった」と実感しました。まずCSTドライバーですが、僕なら角度調整は諦めて純正スピーカーと同じように上を向くように取り付けるか、またはダッシュボードの上にCSTドライバーを置いて前が見えづらくなるかどちらかになっていたでしょう。今回は前方視界をなるべく遮らないように純正位置に半分埋め込んで、なおかつ音軸はルームミラーあたりを狙うというリクエストをしましたが、純正グリル上に開けた穴をヤスリで削って少しずつ広げながら、狙い通りの角度にCSTドライバーをセットしてくれました。



サブウーファーも僕が自分で付けたら説明書通りにフロアの上の吸音材にテープで貼り付けていたと思います。が、サブウーファーは固定強度が重要ということと、平らな部分が見当たらないこと、そしてプレッシャーボード式のためスピーカー面は板のほうが絶対にいいということで、吸音材をカットして板を敷き、その上にビスで固定するという方法を取りました。そのため助手席に座って踏んでもガッチリ固定されています。

そして音を聴いてみると、見違えるようにクリアなサウンドです。解像度の高さはオートサウンドWebグランプリの試聴でさんざん味わっていたのですが、その音がマイカーの車内でも楽しめるとは、感無量です。その中高域に比べると低音のクオリティは落ちますが、それでも良さは存分に発揮しています。まず低音の発生源がリスニングポジションよりも前にあるので、後方に設置した時のような違和感をまったく感じないこと。ベースがしっかりと前方中央に居てリズムを支えるので、音楽に安定感が生まれます。

もちろん周波数的にローエンドまで出ているわけではないし、低音の音階がもっとはっきりすればなぁなど、上をみるとキリのないところはありますが、サブウーファーをリスニングポジションの前に置くことのメリットは絶大。軽自動車だから室内は狭いため、音圧も十分に確保しているし、設置時に板を使用したおかげでしょうか。想像した以上に低音が弾んで生き生きしていて、心地よく騙されています(笑)

TS-WX010Aのローパスフィルターが切れないので、周波数を最高にしても125Hzでフィルターがかかってしまい、TS-HX900PRSとの間にどうしても抜けてしまう周波数が生まれてしまうなど改善点はいくつかありますが、もしかしたらこれまで僕が乗ってきたクルマの中でもっともまとまりのいいクルマに仕上がったかもしれません。

しかもこれまでのクルマはさんざん調整に苦労して仕上げてきましたが、このクルマは大雑把に「こんなもんだろう」とタイムアライメントの数値を設定しただけ。スピーカーまでの距離を測ったりせず、イコライザーもまったく使わないでまとまりの良いクリアな音が出たのは驚きです。なので、なにか不満を感じるようになるまでは、しばらくこのまま無調整で楽しんでいこうと思っています。