カロッツェリアのDAのデモカーに乗ってみました

トヨタが続々と純正採用し始めたおかげで、あまり評判が芳しくないディスプレイオーディオですが、市販機は状況が異なるようです。カロッツェリアのDMH-SF700は当初の予定販売台数の2倍以上の売り上げをコンスタントに上げているとか。その人気のわけを確かめるために、デモカーを借りてみました。

デモカーはホンダN-BOX。2DINのオーディオスペースの下段半分を利用して、本体部が1DINのDMH-SF700が付いています。カロッツェリアではDMH-SZ700という6.8型画面を採用した2DIN機のディスプレイオーディオも出しているので、こちらも装着できるんですが、やはり画面がデカイほうがいいですよね。


人気のひとつの要因として、本体が1DINサイズであることもあるでしょう。思えば以前は1DINサイズのインダッシュモニターを装備したカーナビが存在していました。ところが最近のAVナビといえば2DINの本体を採用したモデルばかり。2DIN機に比べて1DIN+1DIN機は販売台数が少ないなど、さまざまな理由があるのでしょうが、ちょっと古い輸入車など、1DINしか取り付けスペースがないクルマも存在します。

おまけに最近のクルマはオーディオスペース自体が変形のものも多く、DINというサイズでは括れないものも増えています。となると、本体が2DINのものよりはよりコンパクトな1DINのほうが装着しやすいという判断になるのでしょう。おまけにディスプレイは9型の大画面。となれば、選んじゃいますよね。 ディスプレイオーディオとは、文字通りディスプレイを備えたオーディオ機器のこと。本体にカーナビなどの機能は備えておらず、接続したスマートフォンのアプリを利用して使います。DMH-SF700はApple CarPleyとAndroid Autoの両方に対応しているので、接続するスマートフォンは思いっきり古く無い限り、だいたいは使用可能。Alexaにも対応しています。

デモ用にメーカーが用意したiPhoneも借りたのですが、自分のiPhoneを接続してみました。すると、自分のiPhoneにインストールしてあるアプリの中でCarPlayに対応しているものがディスプレイに表示されます。地図アプリでいえばAppleのMapのほかにGoogleマップやYahoo!カーナビなど。中国の百度地図も対応しています。

音楽系のアプリではAppleのMusicのほか、定額音楽配信のSpotifyにも対応しているしAmazon Musicも使えます。一番嬉しかったのはTune inに対応していたこと。僕は部屋で仕事中はだいたいTune inでイギリスBBCの6Musicを聴いていることが多いのですが、クルマの中でもそれと同じ環境が楽しめます。あと、Webブラウザを搭載しているのでYouTubeを見るのもアリです。ほかにZoomもできるとの話でしたが、クルマの中でまでWeb会議はしたくないので(笑)知らないことにしておきましょう。

近場を走ってみましたが、カーナビアプリはわりと使えます。もちろん本格ナビと比べてしまうと、リアルな交差点拡大図が出たりはしないし音声案内も合成音で、たまに読みを間違えたりしているのですが、それを知った上で利用すれば大きな不満は出ないと思います。

逆に驚いたのは、地下駐車場でも自車マークが動いていること。スマホナビの場合、GPSやWi-Fiのアクセスポイントをもとに測位を行っているので地下やトンネル内などGPSの電波が拾えない場所では測位が不得意と言われていましたが、DMH-SF700は地下駐車場でも自車位置を追従します。聞くところによるとDMH-SF700は本体にジャイロセンサーやGPSを内蔵しているとのこと。それを測位に利用しているかはアプリに依存するため、実際に利用しているのかはメーカーでもわかりませんが、どうやら効いている感じがします。ちなみに使用アプリはAppleのMapです。

では、肝心の音。おそらく、ハイエンドなカーオーディオ好きには物足りないと思います。いちおうDSPを内蔵しタイムアライメントやイコライザー、クロスオーバー調整はできますが、タイムアライメントはフロントL/RとリアL/Rの4chの設定。イコライザー13バンドです。またクロスオーバーはサブウーファーを加えるための調整でプロモードも搭載していないので、緻密な調整をしようと思ったら物足りないでしょう。僕も、より高度な外部DSPを追加すると思います。

ただしハイレゾ音源に対応していて、FLACなら192kHz/24bitまで、WAVなら192kHz/32bitまで再生が可能。またDSD64とDSD128の音源も再生します。ただし再生時には96kHz/24bitのLPCMに変換しますが。だから音楽のコレクションがハイレゾ中心になっていても大丈夫。再生できることが大事なのです。

だから、音質にとことんこだわるハイエンドなユーザー向けというよりは、音楽が無くては生きていけないという音楽好きにこそお勧めしたいモデルです。普段はSpotifyとはTune inのようなアプリで音楽を聴き、たまにスマホの音楽再生アプリやUSBに入れたハイレゾ音源を楽しむような使い方が良いかもしれません。iPhoneなので関係ありませんがLDACに対応しているので、対応機があればBluetooth経由のワイヤレス再生でもハイレゾ相当の高音質が楽しめます。

ただし、サイバーナビのように通信量無制限なわけでは無いので、使えば使うほどデータ量が気になりますね。ヘビィユーザーなら、できるだけ容量が大きいプランに入っておくことをお勧めします。