ヘリックスのDSP.2がDSP.3にアップグレード

ヘリックスが新しいDSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)を発表。近日発売予定として、輸入元のエムズラインのサイトに掲載されています。


このHELIX DSP.3というモデルは、HELIX DSP.2をベースに改良した、新設計のデジタル・シグナル・プロセッサー。サイズは幅177×高さ40×奥行き120mmとまったく同じ、出力電圧6VのRCA出力を持ち、ハイレベル入力は6チャンネル分、DSPは64bitのプロセッサーが1基、動作クロックは295MHzと、ここまではDSP.2とまったく変わりませんが、A/DコンバーターやD/Aコンバーターは、DSP.3のバーブラウン製24bitのものから、ADK(旭化成)の32bitタイプ(AK4458/AK5556)に変更。これにより、ビットレートはDSP.2の256倍の会長度を持つ32bitとなり、サンプリング周波数はDSP.2の48kHzから2倍の96kHz。周波数特性はDSP.2の10Hz〜22kHzから10Hz〜44kHzに上がり、デジタル入力時の高調波歪率も0.008%から0.0006%へと性能が高まっています。

またDSP.2では未搭載だったAOC(アドバンスド・コプロセッサー)を搭載することにより、メモリー切り替え時間を短縮。ベース/センター/フロントのエフェクト機能も搭載しています。さらにハイレベル入力は6chをミックスすることができ、純正マルチシステムの出力をフルレンジに近い信号へと合成できるようになりました。また、新開発のADEP.3は、純正ヘッドユニットの軽負荷時のエラー検知を未然に防ぎ、ダミー抵抗の接続などの余分な手間を大幅に省けます。

動作可能な電源電圧は9.6Vから16Vの後半時。5秒間は6Vまで電源電圧が低下しても電源がオフにならない仕様にしたので、アイドリングストップ車がアイドリングストップ作動時に電圧が低下しても音が途切れる現象も防げます。ただし、ヘッドユニットやパワーアンプが止まって音が途切れることもあるでしょうが(笑)。少なくともDSP.3だけは、安定して動いています。

調整用のアプリはATF PC TOOL Version 4に対応。最新の4.50aも使えます。入力信号のタイムアライメント機能を追加しているので、純正信号のタイムアライメントをいったん戻して、出力側で補正することができます。調整はすべてリニアに反映されるので、音を聴きながらの調整も楽ですね。ボリュームやアナログ/デジタルの入力切り替え、メモリー切り替えなどは、別売のDIRECTOR/URC-3でできます。

拡張カードはHEC USB HD INPUT MODULE(28,000円/税別)のほかブルートゥースモジュール(22,000円/税別)、光インプットモジュール(14,000円/税別)、AUXインプットモジュール(14,000円/税別)の4種類を用意。手持ちのプレーヤーに合わせて選べます。標準では6チャンネルのRCA入力とスピーカー入力があり、TOSリンクの光入力も持っています。

デジタル調整機能はクロスオーバーとイコライザー、タイムアライメント。クロスオーバーはハイパス/ローパスともに1/51オクターブステップで20Hz〜20kHzの範囲でセットでき、ウーファーチャンネルはハイパスが20〜100Hz、ローパスが20〜300Hzの間で1Hzステップで調整できます。肩特性はバターワース/ベッセル/チェビシェフ/リンクウィッツの設定ができ、スロープはリンクウィッツが-12/24/36dB/octに設定可能。それ以外は-6/12/18/24/30/36/42dB/octに設定できます。また-12dB/octならQを0.5〜2の間に0.1ステップ刻みで調整して、オリジナルの肩特性に設定することも可能です。

イコライザーは1/3オクターブ刻みで30バンドの調整ができますが、1/24オクターブ刻みの微調整も可能。レベルは-15から+6dBの範囲で、0.1dB刻みで細かく調整ができ、Q特性も0.5〜15の範囲で0.1ステップで変えられます。タイムアライメントは0〜354.17cmの間で、3.5mm(0,01ms)ステップで調整可能。0〜354.375まで5.625度ステップで調整できる位相調整も可能です。あまりに調整可能な項目が多くて調整はかなり難しそうですが、きめ細かく幅広い調整ができるのが、ヘリックスDSPならではです。

DACやADCが24bitから32bitに変わった時点で、クオリティが向上しているのは確実だと思われます。DSP.2より3万円ほど価格が上がっていますが、動作サンプリングレートはDSP.2の48kHz/24bitから96kHz/32bitに変わっているので、ハイレゾ・ファイルへの対応も高まっています。出力が8チャンネルですが、このチャンネル数で大丈夫ならDSP PRO並みのサウンドがDSP PROよりも4万円もお得に手に入ります。という意味では、コストパフォーマンスに優れたモデルと言えるでしょう。