【レビュー】オーディソン AP F8.9bitを聴いた

アンプ内蔵DSPの2機種目はオーディソン のPRIMA AP F8.9bitです。従来のAP8.9bitよりも少し大きくなって、定格出力が35W×8から85W×8へと大幅にパワーアップしています。コントローラーのDRCが付かないモデルが14万円(税別)、DRC付きが15万円(税別)。純正システムをベースに手軽に音質向上が図れます。

アンプは内蔵していないけど、bit OneというDSPを出した先駆者的メーカーだけに、洗練されていますね。まずデザインがいい。天板が軽く丸みを帯びていて、サイドのラインも軽くカーブしています。このあたりのデザインの良さがイタリアを感じます。型番に追加された「F」の文字は「Forza(フォルツァ)」の意味。イタリア語でパワーを意味するそうです。1チャンネルあたり35Wから85Wにパワーアップしたのですから、フォルツァを名乗ってもいいと思います(笑)。2Ω駆動なら130W×8、4Ωブリッジでは260W×4でも使えます。


内蔵アンプが8チャンネル分あるからシステム対応力は豊富。フロント3ウェイ+リアスピーカーでもいいし、フロント2ウェイ+リア2ウェイのマルチシステムも組めます。DSPは9チャンネル分あるから、サブウーファーの追加も可能。また5チャンネルアンプ内蔵のAP5.9bitや4チャンネルアンプ内蔵のAP4.9bitもあって、システムに応じて必要なチャンネル数が選べるのも嬉しい点です。このあたりは、さすがにこの手のモデルに早くから取り組んでいるなぁということを感じます。

パワーは増えましたが音はおとなしいというか、ちょっと細身というか、Hi-Fi的には少し物足りない面もあります。が、より高音質を求めるならbit One HDがあるし、好きなパワーアンプも選べます。このAP F8.9bitはより手軽なサウンド向上を狙う人向けなので、これで良いんだと想います。ハイレベル入力やRCA入力、スピーカー出力、リモート入出力など、付属の端子類も充実。調整をしっかりと行えば、純正システムを活かしたままで手軽にサウンドクオリティの向上を図ることが可能です。

内蔵チップはクロックスピード147MHzのシーラスロジックの32bitチップ。光デジタル入力を装備していて最大192kHz/24bitのファイルを読み込むことができるので、光出力のあるDAPなどを繋げば、ハイレゾ音源を楽しむことができます。ただしネイティブで再生できるのは96kHz/24bitまでのようですが。今のハイレゾ音源は96/24のファイルが主流なので、これで十分でしょう。

システム設定はあらかじめ11のモードが用意されていて、最初にスピーカー構成を選べばのちのちの調整も楽。その設定はフロント2chの簡単なものからフロント2ウェイアクティブ+センタースピーカー+サブーファーといったものまで用意されているので、ほぼどんなシステムでも対応可能でしょう。もちろんフロント3ウェイアクティブも可能です。

純正システムが様変わりしてオーディオの入れ替えが難しいクルマに対してグレードアップを図る時、アンプ内蔵DSPはもっとも手軽な手段。おそらく、きちんと調整さえすればスピーカーを変えるだけよりも効果が高いと思います。このアンプ内蔵DSPを入れて、リーズナブルなもので良いのでスピーカーも入れ替え、きちんと調整を行えば確実に音質向上できるので、これから増えると予想されるディスプレイオーディオ標準装備車のオーディオを手軽に音質アップするには、良いアイテムなんじゃないでしょうか。